副甲状腺疾患・カルシウム代謝異常
高Ca・低Caの症状と原因から、副甲状腺・くる病・Mgまで
38問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 高Ca血症は意識障害・多尿(口渇)・便秘。原因は原発性副甲状腺機能亢進症(PTH↑)・悪性腫瘍・活性型ビタミンD製剤。治療はまず生理食塩液、続けてビスホスホネート。
- 低Ca血症はテタニー(手指のしびれ・攣縮)。甲状腺全摘のあとに多い。すぐグルコン酸カルシウムを静注。
- Caはアルブミンで補正して読み、PとPTHで見分ける。副甲状腺機能低下症は低Ca・高P、ビタミンD欠乏は低Ca・低P(子どもはくる病:O脚・ALP↑)。
Ca・P・PTHの読み方
血清Caを上げるのは、PTH(副甲状腺の主細胞から)と活性型ビタミンDの2つ。
| PTH | 骨を溶かしてCaを出す。腎でCaの再吸収を増やし、Pの再吸収を抑えて尿にPを捨てる。腎でビタミンDを活性化する |
|---|---|
| 活性型ビタミンD | 腎で活性化される。腸からCaとPを吸収させる |
| 補正Ca | アルブミンが4 g/dL未満なら、補正Ca=実測Ca+(4−アルブミン)。アルブミンが低いと、見かけのCaは低く出る |
Ca・P・PTHの組み合わせ
| 原発性副甲状腺機能亢進症 | Ca↑・P↓・PTH↑ |
|---|---|
| 悪性腫瘍(PTHrP) | Ca↑・P↓・PTH↓ |
| ビタミンD製剤・中毒 | Ca↑・P↑・PTH↓ |
| 副甲状腺機能低下症 | Ca↓・P↑・PTH↓ |
| 偽性副甲状腺機能低下症 | Ca↓・P↑・PTH↑ |
| 慢性腎臓病 | Ca↓・P↑・PTH↑(続発性副甲状腺機能亢進症) |
| ビタミンD欠乏 | Ca↓・P↓・PTH↑ |
| 腫瘍性骨軟化症 | Caは正常・P↓↓(FGF23) |
- CaとPが逆向きなら副甲状腺機能低下症・慢性腎臓病、ともに↓ならビタミンD欠乏。
- PTHとCaが同じ向きに動くのは、副甲状腺そのものの病気(亢進症・低下症)。
高カルシウム血症:症状と原因
| 脳 | 意識障害・せん妄・傾眠。だるさ・筋力低下。高齢者・がん患者の急な意識の変化では、Caを測る |
|---|---|
| 腎 | 多尿・口渇(尿を濃くできない)。脱水から腎機能が落ち、さらにCaが上がる。尿路結石 |
| 消化管 | 食欲不振・悪心・便秘。消化性潰瘍・膵炎 |
| 心電図 | QT短縮 |
- 筋けいれん・テタニーは起こらない(低Caの症状)。
原因
| PTHが高い | 原発性副甲状腺機能亢進症(無症状で健診で見つかる・尿路結石) |
|---|---|
| 悪性腫瘍 | 腫瘍がつくるPTHrP(肺の扁平上皮癌・成人T細胞白血病(ATL)など)、骨転移・多発性骨髄腫。PTHは抑えられて下がる |
| 薬 | 活性型ビタミンD製剤(骨粗鬆症や副甲状腺機能低下症の治療中の高齢者)。Ca製剤との併用、ビタミンD中毒 |
| 肉芽腫 | サルコイドーシス(マクロファージが活性型ビタミンDをつくる) |
| そのほか | 長期臥床(骨が溶ける) |
- 甲状腺癌(髄様癌も)は、Caの異常を起こさない。
画像で出たら 胸部X線で肺門の腫瘤、喀痰細胞診で角化した異型細胞(扁平上皮癌)。アルブミンが低く、補正するとCaは高い。
高カルシウム血症の治療
- ① 生理食塩液脱水を戻し、尿にCaを出す
- ② ビスホスホネート静注骨吸収を止める(効くまで数日)
- ③ カルシトニン数時間で効くが、数日で効かなくなる
- ④ 原因を断つ薬の中止・腫瘍の治療・副甲状腺の摘出
- まず生理食塩液を十分に入れる。高Caの多尿で、脱水になっている。
- 悪性腫瘍・骨髄腫の高Caはビスホスホネート。すぐ下げたいときはカルシトニンも。
- 活性型ビタミンD製剤による高Caは、製剤(とCa製剤)を止める。
- 副腎皮質ステロイドが効くのは、活性型ビタミンDが増えた高Ca(サルコイドーシス・ビタミンD中毒・悪性リンパ腫)。
原発性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺の腺腫(多くは1腺)が、PTHを出しすぎる。中年以降の女性に多い。
| 見つかり方 | 無症状で、健診の高Ca。尿路結石をくり返す |
|---|---|
| 血液 | Ca↑・P↓・PTH↑、ALP↑、活性型ビタミンD↑。高Cl性の代謝性アシドーシスに傾く |
| 尿 | 尿中Ca排泄↑(濾過されるCaが増える)、%TRP↓(尿にPを捨てる) |
| 骨 | 骨密度↓(とくに皮質骨)。骨軟化症ではない |
| 合併 | 消化性潰瘍・膵炎。MEN1の一部(下垂体・膵の腫瘍も。副甲状腺は過形成) |
| 場所を探す | 頸部超音波、99mTc-MIBIシンチ |
| 治療 | 腫れた副甲状腺を手術で取る |
- 続発性(透析・慢性腎臓病):Pがたまり活性型ビタミンDが減って、PTHが上がる。Pは高い。頸部超音波で腫れた副甲状腺を、手指骨X線で骨膜下吸収を見る。
- 家族性低Ca尿性高Ca血症(FHH):軽い高Caで、尿中Caが少ない。手術はしない。
画像で出たら 頸部超音波で、甲状腺の背側(下極の近く)に低エコーの腫瘤。MIBIシンチで、時間がたっても腫瘤に集積が残る。腹部CTでは腎・尿管の結石。
低カルシウム血症・副甲状腺機能低下症
| 症状 | テタニー(手指の有痛性の攣縮)・手や口のまわりのしびれ。Trousseau徴候(血圧計のカフで締めると手指が攣縮)。新生児・乳児はけいれん・振戦 |
|---|---|
| 長く続くと | 大脳基底核の石灰化・白内障(副甲状腺機能低下症の合併症) |
原因
| 副甲状腺機能低下症 | 甲状腺全摘のあと(副甲状腺を取る・血流が落ちる)。特発性もある。PTH↓・Ca↓・P↑。DiGeorge症候群は新生児テタニー |
|---|---|
| 偽性副甲状腺機能低下症 | PTHは高いのに、腎・骨が反応しない(ホルモン不応症)。PTHを注射しても、尿中のP(Ⅰ型はcAMPも)が増えない(Ellsworth-Howard試験) |
| そのほか | ビタミンD欠乏・慢性腎臓病、急性膵炎、低Mg血症 |
- テタニーには、グルコン酸カルシウムをゆっくり静注(心電図を見ながら)。
- 維持は活性型ビタミンD製剤(+Ca製剤)。すぐには効かない。脱水や腎機能低下が重なると、高Caになる。
- 過換気症候群のテタニーは、Caの値は正常(アルカローシスでイオン化Caが減る)。
画像で出たら 血圧を測る時、カフで締めた側の手が、指を伸ばして親指を内に入れた形(助産師の手)にこわばる。頭部CTでは、両側の大脳基底核に左右対称の石灰化。
くる病・骨軟化症
ビタミンDが足りないと、腸からCa・Pを吸収できず、骨が石灰化しない。成長期の子ではくる病、大人では骨軟化症。
| 原因 | 食物アレルギーなどで乳製品・卵・魚をとらない、母乳だけを長く続ける。厳格な菜食。胆汁うっ滞(胆道閉鎖症など)で脂溶性ビタミンを吸収できない。日光に当たらない |
|---|---|
| 症状 | O脚・歩き方の異常。病的骨折。低Caが強いと手のこわばり・テタニー |
| 血液 | ALP↑↑・PTH↑・P↓、Caは↓〜正常、25(OH)D↓ |
| X線 | 骨幹端が杯のように広がって凹み、ふちがほつれる |
| 治療 | ビタミンD製剤 |
腫瘍性骨軟化症:腫瘍がFGF23を出し、腎からPを捨てる。P↓↓・ALP↑で、Caと腎機能は正常。骨の痛み・多発する骨折・身長の低下。原因の腫瘍を探して取る。
画像で出たら 手首や膝のX線で、骨幹端が杯のように凹み(cupping)、ふちがほつれる(fraying)。成長板の幅が広い。下肢はO脚に曲がる。
マグネシウムの異常
| 高Mg血症 | 腎機能が落ちた高齢者が、酸化マグネシウム(便秘の薬)やMgを含む下剤を飲み続ける。悪心・徐脈・血圧低下・腸の動きの低下・腱反射の低下。まず生理食塩液で補液し、尿にMgを出す。Mgの薬は止める |
|---|---|
| 低Mg血症 | 不整脈(torsades de pointes)・テタニー。PTHの分泌も落ち、低Ca血症を伴う |
- 高Mgの徐脈は、心電図で房室ブロックなどを見る。重いときはグルコン酸カルシウムの静注や血液透析。
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
表示の設定
まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
アルブミンが低い人で、血清Caを読むときの式は?★★★必修
補正Ca=実測Ca+(4−アルブミン)
アルブミン2.9 g/dL・Ca 7.3 mg/dLなら、7.3+1.1=8.4 mg/dL。見かけのCaが正常でも、補正すると高Caのことがある。
- Q2
Caが低く、Pが高い。考える病気は?(3つ)★★★
副甲状腺機能低下症・偽性副甲状腺機能低下症・慢性腎臓病
PTHが足りない・効かない、または腎からPを出せない。
- Q3
CaもPも低い。考える病気は?★★★
ビタミンD欠乏症(くる病・骨軟化症)
腸からCaもPも吸収できず、上がったPTHが尿にPを捨てる。腫瘍性骨軟化症では、Pだけが低い。
- Q4
がん患者や、活性型ビタミンDを飲む高齢者が、急に傾眠・せん妄になった。まず疑う電解質異常は?★★★必修
高カルシウム血症
口渇・便秘・食欲不振を伴えば、なお疑う。Caはアルブミンで補正して読む。
- Q5
高Ca血症で起こる、尿の異常は?★★★必修
多尿(尿を濃くできない)
腎性尿崩症のようになり、口渇・脱水が起こる。乏尿にはならず、多飲・多尿の人では血清Caも測る。
- Q6
高Ca血症で出る消化管の症状は?(3つ)★★★必修
食欲不振・悪心・便秘
腸の動きが落ちる。がんの患者の嘔吐でも、原因の一つとして考える。
- Q7
悪性腫瘍の高Ca血症で、腫瘍がつくるPTHに似た物質は?★★★
PTHrP(PTH関連蛋白)
PTHと同じように働き、Ca↑・P↓になる。本物のPTHは抑えられて低い。
- Q8
高Ca血症をよく起こす血液の腫瘍は?(2つ)★★★
多発性骨髄腫・成人T細胞白血病(ATL)
骨髄腫は骨を溶かし、ATLはPTHrPを出す。どちらも輸液とビスホスホネートで下げる。
- Q9
肉芽腫が活性型ビタミンDをつくり、高Ca血症を起こす病気は?★★★
サルコイドーシス
肉芽腫のマクロファージがビタミンDを活性化する。この高Caにはステロイドが効く。
- Q10
骨粗鬆症で治療中の高齢者が、食欲不振・意識障害・腎機能の悪化。中止すべき薬は?★★★必修
活性型ビタミンD製剤
腸からのCa吸収を高め、Ca製剤の併用や脱水・腎機能低下が重なると高Caになる。ループ利尿薬・Ca拮抗薬は原因にならない。
- Q11
高Ca血症で、まず行う治療は?★★★必修
生理食塩液の輸液
多尿で脱水になっている。体液を戻して腎血流を増やし、尿にCaを出す。
- Q12
悪性腫瘍の高Ca血症で、輸液とともに使う薬は?(2つ)★★★
ビスホスホネート・カルシトニン
どちらも破骨細胞を抑える。カルシトニンは数時間で効くが数日で効かなくなり、ビスホスホネートは効くまで数日かかるが長く効く。
- Q13
無症状の人で、Ca↑・P↓・ALP↑。最も考える病気は?★★★
原発性副甲状腺機能亢進症
PTHが高ければ決まる。悪性腫瘍ではPTHが低く、続発性(慢性腎臓病)ではCaは低め・Pは高い。
- Q14
原発性副甲状腺機能亢進症で、くり返しやすい病気は?★★★
尿路結石
濾過されるCaが増え、尿中にCaが多く出る。結石をくり返す人では、CaとPTHを測る。
- Q15
原発性副甲状腺機能亢進症で、骨の検査に出る所見は?★★★
骨密度の低下(とくに皮質骨)
PTHで骨吸収が進む。石灰化の障害である骨軟化症とは別で、骨の代謝が速くALPは上がる。
- Q16
腫れた副甲状腺の場所を調べる検査は?(2つ)★★★
頸部超音波・99mTc-MIBIシンチグラフィ
腺腫は甲状腺の背側、下極の近くに多い。透析患者の続発性でも、頸部超音波で腫れた副甲状腺を見る。
- Q17
原発性副甲状腺機能亢進症に合併しやすい消化器の病気は?(2つ)★★★
消化性潰瘍・膵炎
高Caがガストリンの分泌や膵酵素の活性化を進める。
- Q18
甲状腺全摘の翌日、手指のしびれと有痛性の攣縮。原因は?★★★必修
低Ca血症(副甲状腺機能低下)
副甲状腺を一緒に取った、または血流が落ちた。出血・反回神経麻痺と並ぶ、甲状腺の手術の合併症。
- Q19
低Ca血症のテタニーに、すぐ行う治療は?★★★
グルコン酸カルシウムの静注(ゆっくり)
活性型ビタミンDは効くまで時間がかかり、維持に使う。抗けいれん薬ではCaは戻らない。
- Q20
血圧計のカフで腕を締めると、手指が攣縮する。この徴候は?★★★必修
Trousseau徴候
低Ca血症の徴候で、高Caでは出ない。頬を叩いて口角がひきつるのはChvostek徴候。
- Q21
新生児・乳児のけいれんの原因になる代謝異常は?(2つ)★★★
低Ca血症・低血糖
新生児ではCa 7 mg/dL未満が低Ca。しゃっくり・振戦・びくっとする動きで来ることもある。
- Q22
PTHもCaも低い。考える病気は?★★★
副甲状腺機能低下症(特発性・術後)
Pは高い。PTHが高いのに低Caなら、偽性副甲状腺機能低下症・ビタミンD欠乏・慢性腎臓病。
- Q23
PTHは高いのに、低Ca・高P。腎機能は正常。考える病気は?★★★
偽性副甲状腺機能低下症
PTHを注射しても、尿中のP(Ⅰ型はcAMPも)が増えない(Ellsworth-Howard試験)。
- Q24
食物アレルギーで乳製品・卵・魚を除いている幼児。O脚と歩き方の異常。考える病気は?★★★
ビタミンD欠乏性くる病
母乳だけを長く続ける、日光に当たらない、でも起こる。家族に同じ骨の変形があれば、遺伝性のくる病を考える。
- Q25
ビタミンD欠乏性くる病で、高くなる血液検査値は?(2つ)★★★
ALP・PTH
骨の石灰化が進まずALPが著しく上がり、低Caに反応してPTHが上がる。25(OH)Dは低い。
- Q26
くる病の手首・膝のX線で、骨幹端に見える所見は?★★★
杯状の凹み(cupping)と、ふちのほつれ(fraying)
成長板の幅も広がる。治ると、骨幹端に石灰化の線が戻る。
- Q27
ビタミンD欠乏性くる病の治療薬は?★★★
ビタミンD製剤
Ca製剤・リン製剤だけでは治らない。胆汁が出ない子(胆道閉鎖症の術後など)も脂溶性ビタミンを吸収できず、病的骨折を起こす。
- Q28
Pが著しく低くALP↑、Caと腎機能は正常。骨の痛みと多発骨折。考える病気は?★★★
腫瘍性骨軟化症
腫瘍がFGF23を出し、腎からPを捨てる。原因の腫瘍を探して取る。
- Q29
腎機能が落ちた高齢者で、高Mg血症の原因になる薬は?★★★
酸化マグネシウム(便秘の薬)・Mgを含む市販の下剤
腎からMgを出せずにたまる。スタチンはMgに関係しない。
- Q30
脱水を伴う高Mg血症で、まず投与するのは?★★★
生理食塩液
腎血流を保ち、尿へMgを出す。重いときはグルコン酸カルシウムで心臓への作用を打ち消し、透析も考える。
- Q31
高Mg血症で脈拍が32/分。次に行う検査は?★★★
心電図
徐脈・房室ブロックを見る。高Mgでは血圧低下・腱反射の低下・腸の動きの低下も起こる。
- Q32
Mgが不足して起こるのは?(2つ)★★★
不整脈(torsades de pointes)・テタニー
PTHの分泌も落ちて、低Ca血症を伴う。低Caや低Kが治らないときは、Mgも測る。