心肺蘇生
倒れた人の発見から、AED・二次救命処置・心拍再開後まで
34問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 反応がなく、普段どおりの呼吸がない(死戦期呼吸も)なら心停止。応援・119番・AEDを頼み、すぐ胸骨圧迫。
- 胸骨圧迫は100〜120回/分・約5 cmで、人工呼吸と30:2。AEDは誰でも使え、解析とショックの時は誰も患者に触れない。
- 心室細動・無脈性心室頻拍は電気ショック、PEA・心静止は胸骨圧迫とアドレナリン。心拍が戻っても昏睡なら体温管理療法。
一次救命処置:見つけてから胸骨圧迫まで
- ① 周りの安全車・火・有毒ガスなど
- ② 反応を見る肩をたたき、大声で呼びかける
- ③ 応援・119番・AED院内なら救急カート・除細動器も
- ④ 呼吸を見る10秒以内。胸と腹の動き
- ⑤ 胸骨圧迫普段どおりの呼吸がなければ、すぐ
- 倒れた人を見たら、周りの安全を確かめてから近づき、まず反応を見る。
- 反応がなければ、大声で応援を呼び、119番とAEDを頼む(呼吸の確認・胸骨圧迫より先)。
- 普段どおりの呼吸がない、またはしゃくりあげるような不規則な呼吸(死戦期呼吸)なら心停止。すぐ胸骨圧迫を始める。
- 医療者は、呼吸を見ながら頸動脈の拍動も確かめてよい。市民は脈を見ない。分からなければ心停止として始める。
- しないこと:対光反射の確認(開始が遅れる)、前胸部叩打、下肢の挙上。回復体位は、反応はないが普段どおりの呼吸がある人にとる。
胸骨圧迫と人工呼吸
| 成人 | 小児・乳児 | |
|---|---|---|
| 押す場所 | 胸骨の下半分(胸の真ん中) | 同じ |
| 深さ | 約5 cm(6 cmを超えない) | 胸の厚さの約1/3 |
| テンポ | 100〜120回/分 | 同じ |
| 圧迫:人工呼吸 | 30:2 | 救助者1人なら30:2、2人なら15:2 |
| 脈を見る所 | 頸動脈 | 乳児は上腕動脈 |
- 硬い床の上に仰向けにして押す。押したら胸が元に戻るまで力を抜き、中断はなるべく短くする(2分ごとに交代)。
- 2分間で人工呼吸は約10回(30:2を5サイクル)。1回1秒で、胸が上がる程度に。
- 人工呼吸ができない・ためらわれるときは、胸骨圧迫だけを続ける。
- 小児の心停止は、呼吸の悪化(低酸素)から起こることが多い。人工呼吸を組み合わせる。心静止なら、すぐ胸骨圧迫と人工呼吸。
- 脈は触れるが、徐脈で呼吸が弱い乳児には、まずバッグバルブマスクで換気。換気しても心拍60/分未満で循環が悪ければ、胸骨圧迫を加える。
- 新生児は手順が別(くわしくは新生児蘇生法で)。
AEDの使い方
AEDは心電図を自動で解析し、必要なときだけ電気ショックを流す。医療者でなくても誰でも使える(講習の修了証も要らない)。使うのは、反応がなく普段どおりの呼吸がない人。
- ① 電源を入れる届いたらすぐ。その間も胸骨圧迫を続ける
- ② パッドを貼る素肌に。ぬれていれば拭く
- ③ 解析誰も患者に触れない
- ④ ショック誰も触れていないのを確かめて押す
- ⑤ すぐ胸骨圧迫2分後にまた解析
- 胸が汗・水でぬれていたら拭いてから貼る。衣服の上からは貼らず、貼り薬ははがす。
- 解析中とショックの時は、誰も患者に触れない。触れていると感電し、その人が心室細動になる。それ以外の時は、パッドを貼ったまま胸骨圧迫を続ける。
- ショックのあとも「ショック不要」のあとも、脈や意識を確かめずにすぐ胸骨圧迫。
- 意識が戻っても、救急隊に引き継ぐまで電源は入れたまま、パッドも貼っておく。
二次救命処置:心停止の4つの波形
モニター・除細動器がそろったら、胸骨圧迫を続けながら波形を見て、電気ショックの適応を決める(約2分ごとに見直す)。
| 波形 | 治療 | |
|---|---|---|
| 心室細動(VF) | 不規則な細かい揺れだけで、QRSがない | すぐ電気ショックと胸骨圧迫 |
| 無脈性心室頻拍 | 幅の広いQRSが速く並ぶが、脈が触れない | すぐ電気ショックと胸骨圧迫 |
| 無脈性電気活動(PEA) | 電気的な波形が出ているのに、脈が触れない(遅い波形のことも) | 電気ショックは効かない。胸骨圧迫とアドレナリン、原因を探す |
| 心静止 | ほぼ平らな線 | PEAと同じ。電気ショックは効かない |
- 脈が触れなければ、モニターに心拍数が出ていても心停止。すぐ胸骨圧迫に戻る。
- 電気ショックは1回ずつ。すぐ胸骨圧迫を2分続けてから、波形を見直す。
- アトロピンは、PEA・心静止に使わない。ペーシングも心停止の治療ではない(脈の触れる高度徐脈に使う)。
- 気管挿管は、胸骨圧迫と電気ショックを止めてまで急がない。バッグバルブマスクで換気できていればよい。
画像で出たら VFは基線が細かく不規則に揺れるだけ。無脈性VTは幅の広いQRSがのこぎりの歯のように続く。PEAは、QRSの形が出ているのに脈がない。心静止はほぼ平ら。
薬・投与経路・治せる原因
| アドレナリン | 1 mgを3〜5分ごとに静注。PEA・心静止ではできるだけ早く。VF・無脈性VTでは、電気ショックで止まらないとき |
|---|---|
| 抗不整脈薬 | 電気ショックをくり返しても止まらないVF・無脈性VTに、アミオダロン(代わりにリドカイン)。ショックより先には使わない |
投与経路
| 第一選択 | 静脈内。肘正中皮静脈などの末梢静脈(胸骨圧迫を止めずに取れる)。入れたら輸液で後押しし、腕を上げる |
|---|---|
| 静脈路が取れない | 骨髄内(脛骨など) |
| どちらも取れない | 気管挿管していれば気管内。入れられるのはアドレナリン・リドカインなど。吸収が不確かで、最後の手段 |
| しない | 筋注・皮下注(循環が止まっていて吸収されない。筋注はアナフィラキシーの打ち方)、心腔内注射 |
治せる原因(4H4T):PEA・心静止では、蘇生を続けながら探して治す。
| 4つのH | 低酸素・循環血液量減少・高K/低K血症・低体温 |
|---|---|
| 4つのT | 緊張性気胸(胸骨圧迫を続けながら穿刺脱気)・心タンポナーデ(心嚢穿刺)・中毒・血栓症(肺血栓塞栓症・急性冠症候群) |
- 通常の蘇生で心拍が戻らず、原因を治せる見込みがあれば、VA-ECMO(PCPS)で循環を保ちながら蘇生を続ける(ECPR)。
心拍再開後の管理
心拍が戻ったら(自己心拍再開)、また心停止しないよう全身を立て直し、脳を守る。
| 循環 | 呼吸・意識とあわせて、まず血圧。下がっていれば輸液・昇圧薬 |
|---|---|
| 呼吸 | 自発呼吸がなければ気管挿管して人工呼吸。過換気にしない(PaCO2が下がると脳の血管が縮む) |
| 原因 | 12誘導心電図。急性冠症候群なら、心拍が戻ってから緊急冠動脈造影・PCI(胸骨圧迫と電気ショックが先) |
| 脳 | 昏睡が続けば体温管理療法。鎮静し、体温を一定に保って発熱を防ぐ。ステロイド・高浸透圧利尿薬に脳を守る効果はない(頭蓋内圧が高い病気は別) |
- 血液透析は蘇生の手段ではない(高K血症など原因の治療に使う)。
似た場面との見分け
倒れたが、心停止ではないとき
| 血管迷走神経反射 | 痛み・傷を見た時などに、顔面蒼白・冷汗。脈は触れる。仰臥位にする |
|---|---|
| 出血性ショック | 吐血・外傷のあと、速く弱い脈と冷汗。まず輸液と止血 |
| 脈の触れる高度徐脈 | アトロピン、経皮ペーシング(くわしくは徐脈性不整脈で) |
| 重い低体温 | 脈が触れれば胸骨圧迫はせず、気道確保と加温 |
| アナフィラキシー | アドレナリンを大腿の外側に筋注 |
蘇生を始めないとき
| 有毒ガスの現場 | 硫化水素などが疑われたら近づかない。救助する人が倒れないよう、離れて119番 |
|---|---|
| 本人の意思によるDNAR | 心停止しても心肺蘇生をしない。家族の希望より本人の意思を尊重する |
| 多数の傷病者 | トリアージで、心停止の人は黒(救命できる人を先に) |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
表示の設定
まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
倒れている人を見つけ、周りの安全を確かめた。まず行うのは?★★★必修
反応の確認(肩をたたいて呼びかける)
脈・呼吸・気道確保はそのあと。有毒ガスなどの危険がある場所なら、近づく前に安全を確保する。
- Q2
呼びかけに反応がない。次に行うのは?★★★必修
大声で応援を呼び、119番とAEDを頼む(院内なら救急カート・除細動器)
人手と機械を先にそろえる。呼吸の確認・胸骨圧迫はそのあと。頸椎の固定は外傷を疑う時の処置。
- Q3
反応がなく、しゃくりあげるような不規則な呼吸をしている。どう判断する?★★★必修
心停止(死戦期呼吸)
有効な呼吸ではない。すぐ胸骨圧迫を始め、AEDを使う。
- Q4
反応がなく、普段どおりの呼吸もない。まず行うのは?★★★必修
胸骨圧迫
呼吸の確認は10秒以内に済ませる。医療者は同時に頸動脈も触れてよいが、分からなければ迷わず始める。
- Q5
成人の胸骨圧迫の深さとテンポは?★★★必修
約5 cm(6 cmを超えない)・100〜120回/分
押したら胸が元の高さに戻るまで力を抜く。3 cmでは浅く、60回/分では遅すぎる。
- Q6
成人の心肺蘇生で、胸骨圧迫と人工呼吸の比は?★★★必修
30:2
2分間で5サイクル、人工呼吸は約10回になる。吹き込みすぎると胸の中の圧が上がり、心臓に戻る血が減る。
- Q7
小児・乳児を救助者2人で蘇生するとき、胸骨圧迫と人工呼吸の比は?★★★必修
15:2
救助者1人なら成人と同じ30:2。小児は呼吸が原因の心停止が多く、人工呼吸の割合を増やす。
- Q8
RSウイルス感染症の乳児。脈は触れるが心拍50/分、呼吸は浅く少なく、SpO2 60%。まず行うのは?★★★必修
バッグバルブマスクによる換気
小児の徐脈の多くは低酸素から来る。換気しても心拍60/分未満で循環が悪ければ、胸骨圧迫を加える。
- Q9
入院中の乳児が自発呼吸を止め、モニターは心静止。直ちに行うのは?★★★必修
胸骨圧迫と人工呼吸
酸素投与・気管挿管・アドレナリンより先。心静止に電気ショックは効かない。
- Q10
AEDを使ってよいのは、どんな人?★★★必修
誰でも(一般市民・医学生も。講習の修了証は要らない)
2004年から市民も使えるようになった。音声の指示に従えば操作できる。
- Q11
除細動の放電の直後、患者のそばにいた看護師が倒れた。呼吸がなく、脈も触れない。まず考える病態は?★★★必修
心室細動(感電による)
放電中に患者に触れていると、電気がその人の心臓も通る。すぐ胸骨圧迫と電気ショック。
- Q12
AEDのショックのあと(「ショック不要」のときも)、すぐ行うのは?★★★必修
胸骨圧迫の再開
脈や意識の確認で圧迫を止めない。2分後にAEDがまた自動で解析する。
- Q13
心停止の患者が運ばれてきた。処置台に移し、胸骨圧迫を続けながら、まず行うのは?★★★
心電図モニターの波形を見る
波形で電気ショックの適応を決める。反応の確認や血圧の測定で圧迫を止めない。
- Q14
心停止の4つの波形のうち、電気ショックの適応は?(2つ)★★★必修
心室細動・無脈性心室頻拍
QRSに同期させず、すぐショックする。心房細動・完全房室ブロックは、心停止の波形ではない。
- Q15
モニターに規則的な波形が出ているのに、頸動脈が触れない。心電図診断は?★★★必修
無脈性電気活動(PEA)
心静止は平らな線。PEAも心静止も電気ショックは効かず、胸骨圧迫とアドレナリンで蘇生を続ける。
- Q16
心静止・PEAで、胸骨圧迫と並んで投与する薬は?★★★必修
アドレナリン(1 mgを3〜5分ごとに静注)
ショックが効かない波形なので、できるだけ早く入れる。VF・無脈性VTでも、電気ショックで止まらなければ使う。
- Q17
電気ショックをくり返しても止まらない心室細動。使う抗不整脈薬は?★★★必修
アミオダロン(代わりにリドカイン)
まず電気ショックとアドレナリン。抗不整脈薬をショックより先に使わない。
- Q18
心停止でアドレナリンを入れる経路と、まず選ぶ部位は?★★★必修
静脈内(肘正中皮静脈などの末梢静脈)。取れなければ骨髄内
末梢なら胸骨圧迫を止めずに取れる。大腿・内頸・鎖骨下などの中心静脈は、第一選択ではない。
- Q19
静脈路も骨髄路も取れない心停止。気管挿管はできている。アドレナリンを入れる経路は?★★★必修
気管内投与
吸収が不確かで、骨髄路も取れないときの最後の手段。気管から入れられるのはアドレナリン・リドカインなどで、重炭酸ナトリウム・カルシウム製剤は入れない。
- Q20
PEAの原因を4H4Tで探す。4つのTは?(4つ)★★★
緊張性気胸・心タンポナーデ・中毒・血栓症(肺塞栓・急性冠症候群)
4つのHは低酸素・循環血液量減少・高K/低K血症・低体温。原因を治さないと心拍は戻りにくい。
- Q21
心肺蘇生で自己心拍が戻った。自発呼吸と意識のほかに、まず確かめるのは?★★★
血圧
低血圧のままだと、脳と心臓の血流が足りない。瞳孔や反射の評価は、循環を保ってから。
- Q22
心拍が戻っても昏睡が続く。脳を守るために行う治療は?★★★必修
体温管理療法(TTM)
鎮静して体温を一定に保ち、とくに発熱を防ぐ。神経の後遺症を減らすのがねらい。
- Q23
通常の心肺蘇生で心拍が戻らない。体外循環で循環と酸素化を保ちながら行う蘇生は?★★★
ECPR(VA-ECMO=PCPSを使う)
肺塞栓など、治せる原因の治療までの時間をかせぐ。ECMOは除細動やアドレナリンの代わりではない。