正常分娩
陣痛の始まりから、内診・回旋・胎盤娩出まで
39問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 規則的な陣痛が周期10分以内(1時間に6回以上)になった時が分娩開始。第1期は子宮口全開大まで、第2期は児の娩出まで、第3期は胎盤の娩出まで。
- 児頭は屈曲して小泉門を先にし、矢状縫合を骨盤入口の横径に合わせて入る。小泉門が前方(恥骨側)へ回り、前方後頭位で出てくる。
- 子宮口全開大の頃の破水(適時破水)と500 mL未満の出血は正常。進行が順調で、胎児心拍数に異常がなければ経過観察。
分娩の始まり
分娩の進み方は、娩出力(陣痛・腹圧)・産道(骨産道・軟産道)・娩出物(胎児と付属物)の3要素で決まる。胎向(児背が母体の左か右か)は経過に影響しない。
| 正期産 | 妊娠37週0日〜41週6日。42週0日以降は過期産、37週未満は早産 |
|---|---|
| 分娩が近い(前駆症状) | 子宮頸管の熟化・先進部の固定・産徴(血の混じった粘液性の帯下)。不規則な前陣痛もある。胎動の増加・子宮底の上昇は前駆症状ではない(子宮底はむしろ下がる) |
| 分娩開始 | 規則的な陣痛が、周期10分以内(1時間に6回以上)になった時 |
- 産徴・破水・頸管の短縮・児頭の下降では、分娩開始としない。
分娩の3つの期・破水・出血
| どこからどこまで | 長さ(初産婦/経産婦) | |
|---|---|---|
| 第1期 | 分娩開始〜子宮口全開大(約10 cm) | 10〜12時間/4〜6時間 |
| 第2期 | 子宮口全開大〜児の娩出 | 1〜2時間/1時間以内 |
| 第3期 | 児の娩出〜胎盤の娩出 | 15〜30分ほど |
| 分娩所要時間 | 分娩開始〜胎盤の娩出 | 12〜16時間/5〜8時間 |
- 初産婦30時間・経産婦15時間を過ぎても生まれなければ遷延分娩。
- 陣痛:活動期は周期2〜3分・発作60〜70秒ほどで正常。子宮口が開くほど周期は短くなる。
- 出血:経腟分娩で500 mL未満なら正常範囲。
破水の時期
| 適時破水 | 子宮口全開大の頃。正常 |
|---|---|
| 早期破水 | 陣痛開始後〜子宮口全開大の前 |
| 前期破水 | 陣痛が始まる前。週数は問わない(37週未満に限らない) |
内診:児頭の下降とBishopスコア
内診では子宮口・坐骨棘・尾骨・小泉門・矢状縫合に触れる。正常の骨盤では岬角に届かない(届けば骨盤入口が狭い)。
- 児頭の下降度(station)は、左右の坐骨棘を結ぶ線を±0とし、上を−、下を+(cm)で表す。
- 児頭の最大周囲径が骨盤入口を通り抜けた状態が嵌入(先進部がおよそSP±0)。妊娠末期に児頭が浮動していれば、児頭骨盤不均衡を疑う。
- 骨盤は入口部→闊部→峡部→出口部の順に通る。先進部がSP+1 cmなら骨盤峡部。
- 展退度は、子宮頸管の短縮の程度(%)。内子宮口の側から進み、100%でも全開大ではない。
- 陣痛が有効かは、内診所見の進行(子宮口の開大・児頭の下降)で判断する。
- Friedman曲線・パルトグラムは、子宮口の開大度(と児頭の下降度)を時間とともに記録する。
Bishopスコア(内診で決める。5項目・最高13点。点が高いほど頸管が熟化している)
| 子宮口の開大 | 0 cm=0点、1〜2 cm=1点、3〜4 cm=2点、5 cm以上=3点 |
|---|---|
| 展退度 | 0〜30%=0点、40〜50%=1点、60〜70%=2点、80%以上=3点 |
| 児頭の下降度 | SP−3=0点、−2=1点、−1〜0=2点、+1以上=3点 |
| 頸部の硬さ | 硬=0点、中=1点(口唇くらいの硬さ)、軟=2点 |
| 子宮口の位置 | 後方=0点、中央=1点、前方=2点 |
分娩機転:児頭の回旋
児背が母体の左なら第1頭位、右なら第2頭位(胎児心音は児背の側で聴く)。内診の向きは12時=恥骨側(前)、6時=仙骨側(後)、3時=母体の左、9時=母体の右。
| 児頭の動き | 内診の所見 | |
|---|---|---|
| 第1回旋 | 骨盤入口で屈曲する(あごを胸につける) | 矢状縫合は骨盤入口の横径に一致。小泉門が先進(第1頭位なら3時) |
| 第2回旋(内回旋) | 小泉門が前方(恥骨側)へ回る。第1頭位では反時計回り | 途中は矢状縫合が斜径(小泉門は1〜2時)。終わると縦径に一致し、小泉門は12時 |
| 第3回旋 | 反屈(伸展)。項部を恥骨の下に当て、顔が会陰から出る | 発露のころ |
| 第4回旋(外回旋) | 出た頭が、肩の回旋につれて戻る。第2回旋と逆向き | 第1頭位なら顔は母体の右を向く |
- 正常は前方後頭位(後頭が恥骨側、顔は仙骨側)で出る。
- 肩:肩幅が骨盤出口の前後径(最大径)に合うように回り、前在(恥骨側)の肩から出る。
- 産瘤は先進部にできる。第1頭位なら右頭頂骨の後部。骨重積は、後在の頭頂骨が前在の下に入る(第1頭位なら左が右の下)。
画像で出たら 内診の図は上が恥骨側(12時)。三角の小泉門が上へ回り、矢状縫合が縦に走っていれば正常の第2回旋。ひし形の大泉門が中央なら反屈位、小泉門が下(6時)なら後方後頭位。
分娩中の管理と胎盤の娩出
- ① 胎児心拍の確認来院したらまずドプラで
- ② 分娩監視装置陣痛と胎児心拍数を記録
- ③ 内診・パルトグラム開大と下降を追う
- ④ 順調なら経過観察監視を続けて待つ
- 陣痛で来院したら、まず胎児心拍を確かめる(ドプラ法)。活動期に入院したら分娩監視装置をつける。
- 進行が順調で、胎児心拍数陣痛図に異常がなければ経過観察。吸引分娩・帝王切開・子宮収縮薬は要らない(人工破膜も)。
- 第2期:陣痛発作の時に児頭が見え、間欠時に引っこむのが排臨。間欠時にも見えたままなのが発露。排臨→発露の順に進む。
- オキシトシン(下垂体後葉)は子宮体部の平滑筋を収縮させる。
胎盤の娩出(第3期)
| はがれたしるし | 臍帯が下がってくる(Ahlfeld)・恥骨の上を押しても臍帯が引きこまれない(Küstner)・子宮底をたたいても臍帯に響かない(Strassmann)・子宮底が上がり右に傾く(Schröder) |
|---|---|
| しるしが出ない | 胎盤がはがれていない。癒着胎盤を考える |
画像で出たら パルトグラムで子宮口の開大度が時間とともに順に上がり、胎児心拍数陣痛図にも異常がなければ、順調な分娩として経過観察。
正常から外れるもの
| 後方後頭位 | 小泉門が後方(6時・仙骨側)へ回る。第2回旋の異常。児の顔が恥骨側を向いて出る |
|---|---|
| 反屈位 | 大泉門・額・顔が先進する。第1回旋(屈曲)の異常 |
| 過強陣痛 | 周期が短く、発作が長すぎる(子宮口7〜8 cmなら周期1分以内・発作2分以上) |
| 微弱陣痛 | 周期が長く、発作が短く弱い。内診所見が進まない |
| 分娩時異常出血 | 経腟分娩で500 mL以上。1,200 mLは異常 |
異常が起こる時期
| 分娩第1期 | 臍帯下垂・臍帯脱出(破水のとき)・不正軸進入・微弱陣痛 |
|---|---|
| 分娩第2期 | 会陰裂傷・肩甲難産 |
| 分娩第3期 | 子宮内反症(胎盤を出すとき)・癒着胎盤 |
| 胎盤娩出の後 | 弛緩出血 |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
表示の設定
まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
正期産は、妊娠何週何日から何週何日まで?★★★
37週0日〜41週6日
42週0日以降は過期産で、満42週の分娩は正常ではない。37週未満は早産。
- Q2
分娩が近いことを示す前駆症状は?(3つ)★★★
子宮頸管の熟化・胎児先進部の固定・産徴(血の混じった粘液性の帯下)
先進部が骨盤に入るので、子宮底はむしろ下がる。胎動の増加は前駆症状ではない。
- Q3
分娩開始と判断する陣痛の目安は?(2つ)★★★
陣痛周期が10分以内・1時間に6回以上
規則的な子宮収縮で決める。産徴・頸管の短縮・児頭の下降は、分娩開始の基準ではない。
- Q4
分娩第1期が終わり、第2期が始まるのはいつ?★★★
子宮口が全開大(約10 cm)になった時
子宮口7 cm開大なら、まだ第1期。第2期は児の娩出で終わる。
- Q5
分娩第3期は、いつからいつまで?★★★
児の娩出から胎盤の娩出まで
ふつう15〜30分ほど。児の娩出が11時、胎盤の娩出が11時30分なら第3期は30分。
- Q6
経産婦で、正常な分娩第2期の長さは?★★★
1時間以内
経産婦は産道がのびやすく短い。初産婦は1〜2時間ほど。
- Q7
子宮口全開大の頃に起こる破水を何という?★★★
適時破水
正常の経過。全開大の15分後に自然に破水したのも適時破水。
- Q8
経腟分娩で、正常範囲とする分娩時出血量は?★★★
500 mL未満
400〜420 mLなら正常。1,200 mLは異常で、原因を探して止血する。
- Q9
正常の骨盤で、分娩第1期の内診で触れないのは?★★★
岬角
対角結合線が長く、指が届かない。届けば骨盤入口が狭い。坐骨棘・尾骨・小泉門・矢状縫合は触れる。
- Q10
児頭の下降度(station)で、±0とする基準は?★★★
左右の坐骨棘を結ぶ線
それより上を−、下を+として cm で表す。
- Q11
児頭の最大周囲径が、骨盤入口を通り抜けた状態を何という?★★★
嵌入(陥入)
先進部がおよそSP±0の高さ。SP+3 cmなら嵌入している。
- Q12
展退度は、何の程度を%で表したもの?★★★
子宮頸管の短縮の程度
内子宮口の側から進み、0〜100%で表す。内診で判断する。
- Q13
Bishopスコアの5つの項目は?★★★必修
子宮口の開大度・展退度・児頭の下降度・頸部の硬さ・子宮口の位置
内診で決め、最高13点。陣痛の周期や強さは入らない。
- Q14
子宮口3 cm・展退50%・SP−2 cm・硬さ中等度・位置後方。Bishopスコアは?★★★
5点
2+1+1+1+0。口唇くらいの硬さは「中」で1点。
- Q15
Friedman曲線で、時間とともに記録する分娩進行の指標は?★★★必修
子宮口の開大度(cm)
児頭の下降度も記録する。展退・硬さ・位置はBishopスコアの項目。
- Q16
陣痛が有効かどうかは、何で判断する?★★★
内診所見の進行(子宮口の開大・児頭の下降)
周期の短さ・発作の長さ・痛みの訴え・産徴では決められない。
- Q17
児背が母体の左側にある頭位は?★★★
第1頭位
右なら第2頭位。胎児心音は児背の側でよく聴こえ、第1頭位なら母体の左下腹部。
- Q18
第2頭位で、矢状縫合が骨盤横径に一致している。小泉門は何時の方向に触れる?★★★
9時(母体の右)
内診では12時が恥骨側、6時が仙骨側、3時が母体の左、9時が母体の右。第1頭位なら3時。
- Q19
児頭が骨盤入口に入るとき、矢状縫合はどの径に一致する?★★★
横径
骨盤入口は横に長い。第2回旋で縦径(前後径)に一致する。
- Q20
第1回旋と第3回旋で、児頭はそれぞれどう動く?★★★
第1回旋は屈曲、第3回旋は反屈(伸展)
逆の動き。第1回旋で小泉門が先進し、第3回旋は発露のころ項部を恥骨の下に当てて起こる。
- Q21
第2回旋で、小泉門はどちらへ回る?★★★
母体の前方(恥骨側、12時)
矢状縫合は縦径に一致し、前方後頭位になる。第1頭位では3時から反時計回り。6時(仙骨側)へ回れば後方後頭位。
- Q22
矢状縫合が斜径にあり、小泉門を2時に触れる。回旋はどの時期?★★★
第2回旋の途中
第1回旋は済んでいる。回り終われば、矢状縫合は縦径、小泉門は12時になる。
- Q23
第1頭位で、第4回旋のあと児の顔は母体のどちらを向く?★★★
右(母体の右大腿の側)
後頭が母体の左へ戻る。第2回旋とは逆向きの回旋。
- Q24
第1頭位の正常な回旋で、産瘤ができる場所は?★★★
右頭頂骨の後部
先進して子宮口に当たる所にできるむくみ。縫合を越えて広がり、数日で消える。
- Q25
陣痛と少量の出血で来院した妊娠39週の初産婦。最初に行うのは?★★★必修
胎児心拍の確認(ドプラ法)
胎児が元気かを先に確かめる。尿検査・血圧・血液検査・胎向の診断はそのあと。
- Q26
活動期の初産婦が入院した。胎児心拍は150/分。次に行うのは?★★★
分娩監視装置の装着
陣痛と胎児心拍数を続けて記録する。外陰の消毒は娩出の直前、導尿は膀胱が張って自分で出せない時。
- Q27
分娩が順調に進み、胎児心拍数陣痛図にも異常がない。対応は?★★★必修
経過観察(監視を続ける)
子宮収縮薬・人工破膜・吸引分娩・帝王切開は、分娩が止まった時や胎児の状態が悪い時に考える。
- Q28
陣痛の間欠時にも、児頭が陰裂の間に見えたまま戻らない状態は?★★★
発露
発作時に見え、間欠時に引っこむのは排臨。排臨→発露の順に進む。
- Q29
児の娩出後、胎盤がはがれたと判断できる臍帯の変化は?★★★
臍帯が下がってくる(Ahlfeld徴候)
はがれると、子宮底をたたいても臍帯に響かず、恥骨の上を押しても臍帯は引きこまれない。子宮底は上がる。
- Q30
妊娠末期に、オキシトシンが主に作用する部位は?★★★必修
子宮体部の平滑筋
下垂体後葉から出る。子宮頸部は筋が少なく、熟化して開く側。
- Q31
子宮内反症が起こる分娩の時期は?★★★
分娩第3期(胎盤を出すとき)
臍帯を強く引く・子宮底を強く押すと起こる。臍帯脱出は破水時(多くは第1期)、肩甲難産は第2期、弛緩出血は胎盤娩出の後。
選択肢の○×
始まり
- 1
胎向(児背が母体の左か右か)は、分娩の経過を大きく左右する。101C07
第1頭位でも第2頭位でも経過は変わらない。経過を左右するのは娩出力・産道・娩出物(胎位・胎勢・児の大きさ)。
3つの期
3つの期
回旋