120C61第120回 医師国家試験 C問題 61
臨床神経多発性硬化症・視神経脊髄炎
連問 共通の症例28 歳の女性。右下肢の脱力を主訴に来院した。現病歴: 8 年前に左眼がかすんで見えたが、自然に軽快した。7 日前に右下肢の脱力を自覚した。5 日前から、お風呂に入ったとき、お湯の温かさを左下肢で感じなくなった。2 日前から、走れなくなったため受診した。既往歴:特記すべきことはない。生活歴:職業は看護師。夫と2 人暮らし。喫煙は10 本/日を8 年間。飲酒歴はない。家族歴:母が橋本病。現症:意識は清明。身長162 cm、体重52 kg。体温36.6 ℃。脈拍84/分、整。血圧110/62 mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮疹を認めない。視力は右0.6(1.0 × -1.5 D)、左0.8(1.2 × -1.0 D)。視野に異常を認めない。瞳孔径と眼裂に左右差はなく、眼球陥凹を認めない。他の脳神経も異常を認めない。四肢筋力は、両上肢と左下肢は正常、右下肢は徒手筋力テストで3 ~4 の筋力低下を認める。腱反射は右下肢で亢進し、右Babinski 徴候が陽性である。鼻指鼻試験、手回内・回外試験で異常を認めない。左下肢で温痛覚が低下しているが、振動覚、関節位置覚に異常を認めない。右下肢で振動覚、関節位置覚が低下しているが、温痛覚に異常を認めない。両上肢では感覚に異常を認めない。排尿と排便に異常を認めない。検査所見:血液所見:赤血球460 万、Hb 12.2 g/dL、Ht 40 %、白血球5,300、血小板23 万。血液生化学所見:総蛋白7.0 g/dL、アルブミン4.2 g/dL、総ビリルビン0.8 mg/dL、AST 21 U/L、ALT 17 U/L、LD 145 U/L(基準124~222)、尿素窒素13 mg/dL、クレアチニン0.7 mg/dL、血糖90 mg/dL、HbA1c 5.3 %(基準 4.9~6.0)、Na 140 mEq/L、K 4.2 mEq/L、Cl 102 mEq/L。免疫血清学所見: CRP 0.1 mg/dL、MPO-ANCA 2.0 U/mL(基準3.5 未満)、PR 3-ANCA 1.0 U/mL(基準3.5 未満)、抗アクアポリン4 抗体陰性。脳脊髄液所見:初圧 90 mmH2O(基準70~170)、細胞数1 /mm3(基準0 ~2 )(すべて単核球)、糖(定量) 60 mg/dL(基準50~75)、蛋白(定量)62 mg/dL(基準15~45)。
来院時の神経診察所見から考えられる病巣部位はどれか。
- a 小脳虫部
- b 延髄(左外側)
- c 延髄(右外側)
- d 脊髄(左半側)
- e 脊髄(右半側)
正解と解説を見る
正解e(脊髄(右半側))
解説
所見を3本の伝導路に分けて考える。右下肢の筋力低下・腱反射亢進・Babinski徴候は右の錐体路、右下肢の振動覚・位置覚の低下は右の後索の障害。温痛覚は左下肢で低下しており、脊髄に入ってすぐ交叉して反対側を上る脊髄視床路の障害なので、これも右側の病変で説明できる。
このように同じ側の運動麻痺と深部感覚低下、反対側の温痛覚低下がそろうのが脊髄半側障害(Brown-Séquard症候群)。上肢と脳神経は正常なので、病変は頸髄より下の胸髄と考える。延髄外側の障害なら、顔面と体の温痛覚障害が左右に分かれ、Horner症候群を伴う。
a 小脳虫部
小脳虫部の障害では体幹の失調や歩行のふらつきが出て、感覚は障害されない。
b 延髄(左外側)
左延髄外側症候群では、左顔面と右半身の温痛覚低下、左Horner症候群が起こる。
c 延髄(右外側)
右延髄外側症候群では、右顔面と左半身の温痛覚低下、右Horner症候群が起こる。
d 脊髄(左半側)
左半側の障害なら、左下肢の麻痺・深部感覚低下と右下肢の温痛覚低下になる。
e 脊髄(右半側)正解
右の錐体路と後索、左下肢から交叉してきた脊髄視床路が障害される。
第120回 Cブロックを、本番と同じ形で解く無料・登録なし。解答用紙・制限時間・選択肢ごとの解説つき
この回を解く出典:厚生労働省「第120回医師国家試験問題」C問題 61。正答は厚生労働省の発表どおり。解説はゴロメディカが書いたものです。