高血圧症
家庭血圧での診断から、生活指導・降圧薬・高齢者の治療まで
28問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 高血圧は診察室140/90・家庭135/85 mmHg以上。1回では決めず、家庭血圧で確かめる。診察室と家庭で違えば家庭血圧で判断し、早朝高血圧を見逃さない。
- 生活指導は減塩(6 g/日未満)・減量・運動・節酒・禁煙と野菜。その人に足りない項目を選び、少量の飲酒まで禁止しない。
- 降圧目標は年齢によらず130/80 mmHg未満。高齢者は収縮期高血圧と起立性低血圧が多く、少量からゆっくり下げる。妊娠中はACE阻害薬・ARBを使わない。
診断:高血圧の基準
診察室で140/90 mmHg以上、家庭血圧では135/85 mmHg以上が高血圧。収縮期・拡張期のどちらか一方でも超えれば高血圧。
| 分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
|---|---|---|
| 正常血圧 | 120/80 未満 | 115/75 未満 |
| 正常高値血圧 | 120〜129/80 未満 | 115〜124/75 未満 |
| 高値血圧 | 130〜139/80〜89 | 125〜134/75〜84 |
| 高血圧 | 140/90 以上 | 135/85 以上 |
- 1回の測定では高血圧と決めない。日を変えて測り、家庭血圧で確かめる(白衣高血圧を除く)。
- 高値血圧(130〜139/80〜89)は、薬ではなく生活習慣の修正から。
- 収縮期だけが高い形(収縮期高血圧)も高血圧。「拡張期が正常なので問題ない」とはいわない。
家庭血圧:測り方と読み方
家庭血圧は、診察室血圧より脳卒中・心臓病の起こりやすさをよく映す。自分で測ると、薬も飲み続けやすくなる。上腕に巻くカフで測る(手首ではない)。
| 朝 | 起床後1時間以内・排尿後・服薬前・朝食前に、座って1〜2分安静にしてから |
|---|---|
| 晩 | 就寝前に、座って1〜2分安静にしてから |
| 続け方 | 毎日、朝と晩に。血圧がよく下がっても測り続ける |
診察室と家庭で違うときは、家庭血圧で判断する。
| 診察室血圧 | 家庭血圧 | |
|---|---|---|
| 白衣高血圧 | 高い | 正常 |
| 仮面高血圧 | 正常 | 高い(朝だけ高いのが早朝高血圧) |
- 治療中で家庭血圧が目標の範囲なら、診察室だけ高くても薬を増やさない(白衣効果)。
- 仮面高血圧・早朝高血圧は、診察室血圧だけでは見逃す。脳卒中・心臓病が起こりやすく、就寝前が正常でも治療する。
- 治療中の早朝高血圧:まず飲み忘れ・飲む時間を確かめ、長く効く薬への変更・追加・飲む時間の変更を考える。ABPM(24時間自由行動下血圧測定)で1日の変動を見る。測る時間を服薬後に変えてはいけない(高い時間が隠れる)。
画像で出たら 家庭血圧の記録表は、朝・晩・診察室の値を分けて読む。朝だけ135/85を超えていれば早朝高血圧。家庭が目標の範囲で診察室だけ高ければ白衣効果。
初診:聞くこと・調べること
初診では、血圧を上げる生活習慣(食塩・肥満・運動不足・飲酒・喫煙)と高血圧の家族歴を聞き、二次性高血圧の手がかりを探す。渡航歴は優先度が低い。
- いびき・日中の眠気は、睡眠時無呼吸症候群の手がかり。夜間・早朝に血圧が高くなり、薬が効きにくい。
- 女性では妊娠出産歴。妊娠高血圧症候群になった人は、出産後も高血圧・蛋白尿が残ったり、のちに高血圧になったりしやすい。
- 若い人の高血圧・急に悪くなった高血圧・薬が効きにくい高血圧・低K血症では、二次性高血圧を探す(似た病気の表)。
- 臓器障害を心電図(左室肥大)・胸部X線(心拡大)・尿蛋白・腎機能・眼底で調べ、治療中も定期的にくり返す。
生活習慣の修正
高値血圧・高血圧の人の全員に行う。項目ごとに目標と比べ、外れているものを指導する。守れている項目まで制限しない。
| 減塩 | 食塩6 g/日未満。梅干・漬物・味噌汁に多い。唐辛子などの香辛料は塩を含まず、薄味を補える |
|---|---|
| 野菜・果物 | 野菜を1日350 g以上。カリウムがナトリウムを尿に出す(腎機能が悪い人は高K血症に注意) |
| 減量 | 肥満なら減量(BMI 25未満)。体重が減ると朝の血圧も下がる |
| 運動 | 有酸素運動(速歩・ジョギングなど)を毎日30分ほど |
| 節酒 | 男性は純アルコール20 g/日(日本酒1合・ビール中瓶1本)ほどまで、女性はその半分ほど。少量の飲酒なら禁酒までは求めない |
| 禁煙 | 禁煙。血圧を上げ、動脈硬化を進める |
| そのほか | 働きすぎ(長時間労働)・睡眠不足を見直す |
降圧薬:始めどきと選び方
危険因子や臓器障害が少ないⅠ度高血圧(140〜159/90〜99)は、まず生活習慣を直して経過を見る(初診ですぐ薬にしない)。下がらなければ降圧薬。Ⅲ度(180/110以上)や、糖尿病・蛋白尿のあるCKD・脳心血管病の既往がある高リスクの人は、生活習慣の修正と同時に降圧薬を始める。
降圧目標は、年齢によらず診察室130/80 mmHg未満・家庭125/75 mmHg未満(2025年の国内ガイドライン)。
合併症のない高血圧の第一選択は、Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・サイアザイド系利尿薬。
| Ca拮抗薬 | 下腿のむくみ・顔のほてり・歯肉の腫れ |
|---|---|
| ARB・ACE阻害薬 | 糖尿病・蛋白尿のあるCKD・心不全でよく選ぶ。妊娠中は使わない(胎児の腎障害・羊水過少)。高K血症。ACE阻害薬は空咳・血管性浮腫 |
| サイアザイド系利尿薬 | 少量で使う。低K血症・低Na血症・高尿酸血症・血糖の上昇 |
- 1日1回の長く効く薬を選ぶ(短時間作用型は急に下がりすぎ、早朝まで効かない)。足りなければ種類の違う薬を組み合わせる。
- ACE阻害薬とARBは重ねない(高K血症・腎機能の悪化)。
- 血圧がよく下がっても、薬を自分の判断で休まない。
高齢者の高血圧
| 血圧の型 | 収縮期高血圧が多い(大動脈が硬くなり、収縮期は上がり拡張期は下がる。脈圧が開く)。拡張期高血圧は少ない |
|---|---|
| 血圧の変動 | 起立性低血圧・食後低血圧を起こしやすい。血圧が動揺しやすく、日内変動も大きい(圧受容体反射が鈍る) |
| 臓器の血流 | 脳・腎などの血流の自動調節能が落ちる。急に下げると、ふらつきや脳虚血を起こす |
| 治療 | 少量から始め、時間をかけて下げる。サイアザイド系利尿薬も第一選択(低Na・低K血症に注意)。減塩も効くが、低栄養に気をつける |
- 80歳を超えても、降圧治療で脳卒中・心臓病は減る。
似た病気との見分け
二次性高血圧を疑う手がかり
| 睡眠時無呼吸症候群 | いびき・日中の眠気・肥満。夜間・早朝の高血圧。減量とCPAPで血圧も下がる |
|---|---|
| 原発性アルドステロン症 | 低K血症を伴う高血圧(Kが正常のことも多い)。レニン↓・アルドステロン↑ |
| 腎血管性高血圧 | 若い女性(線維筋性異形成)や動脈硬化のある人。腹部の血管雑音、左右の腎の大きさの差。レニン↑ |
| 腎実質性高血圧 | 蛋白尿・血尿・腎機能の低下が先にある(慢性糸球体腎炎・糖尿病性腎症・多発性嚢胞腎など) |
| 褐色細胞腫 | 発作的な血圧の上昇に、頭痛・動悸・発汗 |
| Cushing症候群 | 満月様顔貌・中心性肥満・赤紫色の皮膚線条 |
| 大動脈縮窄症 | 上肢の高血圧。下肢の血圧が低く、大腿動脈の脈が弱い。背部の血管雑音 |
| 薬剤性 | 甘草(漢方薬)は低K血症を伴う(偽性アルドステロン症)。NSAIDs・副腎皮質ステロイド・経口避妊薬でも上がる |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
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まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
高血圧と診断する値は、診察室血圧と家庭血圧でそれぞれいくつ?★★★
診察室140/90 mmHg以上・家庭135/85 mmHg以上
家庭のほうが5 mmHg低い(診察室では緊張で上がりやすい)。診察室で130〜139/80〜89は高値血圧で、まず生活習慣を直す。
- Q2
初診で血圧164/92 mmHg。症状も臓器障害もない。まず勧めることは?★★★必修
家庭血圧の測定
1回の高値では高血圧と決めない。家庭でも高いか(白衣高血圧ではないか)を確かめる。いつもは正常な人が1回だけ高かったなら、不安を受け止めて測り続けてもらう。
- Q3
朝の家庭血圧は、どんな条件で測る?★★★
起床後1時間以内、排尿後・服薬前・朝食前に、座って1〜2分安静にしてから
毎日同じ条件で、前日の薬が切れかける時間の血圧を見る。服薬後に変えると、早朝の高い血圧が隠れる。晩は就寝前に測る。
- Q4
診察室血圧と家庭血圧で診断が違うとき、どちらで判断する?★★★
家庭血圧
家庭血圧のほうが、脳卒中・心臓病の起こりやすさをよく映す。家庭血圧が目標の範囲なら、診察室だけ高くても薬を増やさない(白衣効果)。
- Q5
診察室では正常なのに、家庭で測る朝の血圧が135/85 mmHgを超える。何という?★★★
仮面高血圧(朝だけ高いのは早朝高血圧)
診察室血圧だけでは見逃す。脳卒中・心臓病が起こりやすく、就寝前が正常でも治療する。反対に、診察室だけ高く家庭では正常なのが白衣高血圧。
- Q6
降圧薬を朝1回飲んでいる。診察室血圧は正常だが、早朝の家庭血圧が160/96 mmHg前後。まず確かめることは?★★★
薬をきちんと飲んでいるか(飲む時間も)
そのうえで、長く効く薬への変更・追加・飲む時間の変更を考える。ABPM(24時間自由行動下血圧測定)で1日の変動を見て、臓器障害も定期的に調べる。
- Q7
血圧が高い人の初診。問診でいびきを聞くのは、何を探すため?★★★必修
睡眠時無呼吸症候群(二次性高血圧の原因)
夜間・早朝に血圧が高くなり、薬が効きにくい。肥満があれば減量し、CPAPで血圧も下がる。問診では飲酒・運動・家族歴も聞く。渡航歴の優先度は低い。
- Q8
食塩15 g/日。体重・飲酒・脂質・尿酸に問題のない高血圧。指導するのは?★★★必修
減塩(食塩6 g/日未満)
日本人は食塩のとりすぎが多く、減塩が生活指導の基本。問題のない体重・飲酒・脂質・尿酸まで制限しない。
- Q9
食塩5.5 g/日、野菜350 g/日、BMI 22、飲酒は少量。運動の機会がほとんどない。勧めるのは?★★★必修
運動(有酸素運動を毎日30分ほど)
減塩・野菜・体重・飲酒はすでに目標を満たしている。足りない項目だけを指導する。
- Q10
食塩5.5 g/日、BMI 22、毎日ジョギング、飲酒はほとんどしない。野菜は200 g/日。勧めるのは?★★★
野菜を増やす(1日350 g以上)
野菜・果物のカリウムがナトリウムを尿に出し、血圧を下げる。腎機能が悪い人では高K血症に気をつける。
- Q11
肥満と喫煙のある人の早朝高血圧。勧める生活指導は?(2つ)★★★必修
減量・禁煙
体重が減ると朝の血圧も下がる。喫煙は血圧を上げ、動脈硬化を進める。
- Q12
節酒の目安。男性の1日あたりの純アルコールは?★★★
20 gほどまで(日本酒1合・ビール中瓶1本)
女性はその半分ほど。日本酒4合/日のような多量の飲酒なら、この量まで減らすよう指導する。
- Q13
肥満のほかに危険因子も臓器障害もないⅠ度高血圧(148/92 mmHg)。初診の対応は?★★★
生活習慣を直して経過を見る(すぐには降圧薬を出さない)
下がらなければ降圧薬を始める。
- Q14
降圧目標は?(診察室血圧と家庭血圧)★★★
診察室130/80 mmHg未満・家庭125/75 mmHg未満
2025年の国内ガイドラインで、75歳以上や糖尿病の人も同じ目標にそろえた。フレイルの高齢者などは、ふらつきや腎機能を見ながら個別に決める。
- Q15
合併症のない高血圧で、第一選択の降圧薬は?(4種類)★★★
Ca拮抗薬・ARB・ACE阻害薬・サイアザイド系利尿薬
糖尿病や蛋白尿のあるCKDでは、ARB・ACE阻害薬を選ぶ。1種類で足りなければ、種類の違う薬を組み合わせる。
- Q16
妊娠中の高血圧に使ってはいけない降圧薬は?★★★
ACE阻害薬・ARB
胎児の腎臓を傷め、羊水過少や腎不全を起こす。妊娠の可能性がある女性には、なるべく使わない。
- Q17
ACE阻害薬・ARBで起こりやすい電解質の異常は?★★★
高K血症
アルドステロンの働きが弱まり、Kが尿に出にくくなる。腎機能が悪い人や、NSAIDs・脱水が重なると起こりやすい。
- Q18
サイアザイド系利尿薬で起こりやすい電解質の異常は?★★★
低K血症(低Na血症も)
Kが尿に失われ、脱力・筋力低下が出る。尿酸と血糖も上がりやすい。
- Q19
高齢者の高血圧で多い型は?★★★
収縮期高血圧(拡張期は低め)
大動脈が硬くなり、収縮期は上がり拡張期は下がる(脈圧が開く)。拡張期高血圧は若い人〜中年に多い。
- Q20
高齢者が起こしやすい、立った時と食事の後の血圧の変化は?(2つ)★★★
起立性低血圧・食後低血圧
圧受容体反射が鈍り、血圧が動揺しやすい(日内変動も大きい)。立ち上がりや食後のふらつき・転倒に気をつける。
- Q21
高齢者で急に血圧を下げると、脳虚血を起こしやすい。何が落ちているため?★★★
脳血流の自動調節能
脳・腎など主な臓器で、血圧が下がっても血流を保つ力(予備能)が落ちている。ふらつき・失神・脳梗塞につながる。
- Q22
高齢者に降圧薬を始めるとき、量と下げ方は?★★★
少量から始め、時間をかけて下げる
急な降圧と副作用を避ける。高用量から始めない。
- Q23
健診で高血圧と蛋白尿を指摘された40歳の女性。問診で特に聞くことは?★★★
妊娠出産歴(妊娠高血圧症候群になったか)
妊娠高血圧症候群のあとは、高血圧や蛋白尿が残ったり、のちに高血圧・腎臓病になったりしやすい。
- Q24
ACE阻害薬を飲んでいる人。急に唇が腫れ、息苦しい。考える副作用は?★★★
血管性浮腫
分解されずにたまったブラジキニンで起こる。同じ理由で空咳も多い。喉頭が腫れて気道がふさがることがあるので、まず喉頭を見る。
選択肢の○×
診断
家庭血圧
生活習慣
降圧薬