アミロイドーシス
壁が厚いのに低電位の心臓から、腎・病型の見分けまで
7問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 心エコーで左室の壁が厚いのに、心電図は低電位なら心アミロイドーシス。硬くて広がらない(拡張障害)ため、収縮は保たれたままうっ血が起こる。
- ネフローゼや巨舌にM蛋白を伴えばAL型、長く続く関節リウマチに起こればAA型。確定は生検のCongo red染色。
- M蛋白のない高齢者で、両側の手根管症候群が先にあれば野生型ATTR(トランスサイレチン)。ピロリン酸シンチで心臓に集まる。
起こり方と病型
形の崩れた蛋白が細い線維(アミロイド)になり、臓器の細胞の外にたまって働きを落とす。元になる蛋白で病型を分け、病型ごとにたまりやすい臓器と治療が違う。
| AL型 | 元は免疫グロブリンの軽鎖。単クローン性に増えた形質細胞がつくり、血清・尿にM蛋白、遊離軽鎖のκ/λ比の異常が出る。多発性骨髄腫に合併することもある。心臓・腎・舌・消化管・神経など全身にたまる |
|---|---|
| AA型 | 元は、炎症で肝臓がつくる血清アミロイドA(SAA)。長く続く関節リウマチが代表(家族性地中海熱・Crohn病・結核などの慢性感染症でも)。腎(ネフローゼ)と消化管(下痢)が主 |
| ATTR型 | 元は、肝臓でつくるトランスサイレチン。高齢者に多い野生型(老人性全身性アミロイドーシス)は、心臓と手根管にたまる。遺伝性(変異型)は、若い〜中年から神経の症状で始まる(家族性アミロイドポリニューロパチー) |
| 透析アミロイドーシス | 元はβ2ミクログロブリン。10年以上の血液透析で骨・関節にたまる(手根管症候群・ばね指・破壊性脊椎関節症)。透析ですぐには良くならない |
- 治療も病型で違う。AL型は形質細胞を抑える化学療法、AA型はもとの炎症を抑える治療、ATTR型はトランスサイレチンを安定させる薬(タファミジス)など。
診断:生検とCongo red染色
確定は生検。Congo red染色で橙赤色に染まり、偏光顕微鏡で緑色に光る沈着物がアミロイド。腎生検でCongo redが陰性なら、アミロイド腎症は考えにくい。
- 生検の場所:胃・直腸などの消化管や腹壁の脂肪は、体への負担が少ない。腎・心筋でも確かめられる。
- 沈着が分かったら、免疫染色などで元の蛋白を調べて病型を決める。
画像で出たら Congo red染色で、糸球体や血管の壁に、形のはっきりしない橙赤色の沈着物。偏光をあてると緑色に光る。
心アミロイドーシス
心筋にアミロイドがたまり、壁が厚く硬くなって広がらない(拡張障害)。収縮は保たれるのに充満圧が上がり、肺と全身にうっ血が起こる(息切れ・頸静脈怒張・肝腫大・浮腫)。全身の病気の一部として起こる二次性心筋症。
| 心電図 | 壁が厚いのに低電位(とくに肢誘導) |
|---|---|
| 心エコー | 左室の壁が全周性に厚い。心筋の輝度が高い。内腔は広がらない |
| 血液 | BNPが高い。トロポニンも慢性に高い(冠動脈に狭窄がなくても) |
| 病型 | まずM蛋白を調べる(AL型を探す)。M蛋白がなく、ピロリン酸シンチで心臓に集まればATTR型 |
| 確定 | 心筋生検(Congo red染色) |
| 予後 | AL型の生命予後は、心臓の病変で決まる(心エコー・BNP・トロポニンでみる) |
画像で出たら 心エコーで、左室の壁が全周性に厚く、心筋がきらきらと明るい。両心房は大きい。心電図は、壁の厚さのわりに電位が低い。ピロリン酸シンチでは、心臓に強く集まる。
腎・舌・神経など
| 腎 | 高度の蛋白尿でネフローゼ症候群(AL型・AA型)。腎は萎縮せず、腫大することが多い |
|---|---|
| 舌 | 巨舌(大きく硬い舌。AL型) |
| 消化管 | 腹痛・下痢、吸収不良 |
| 手・骨 | 手根管症候群。野生型ATTRでは両側に、心不全より何年も前に起こる。腰部脊柱管狭窄症も多い。透析アミロイドーシスでも起こる |
| 神経 | 下肢から始まる感覚障害(温痛覚)と自律神経障害(起立性低血圧・下痢・排尿障害)。遺伝性ATTR・AL型で |
似た病気との見分け
壁が厚い・心電図が低電位のとき
| 肥大型心筋症 | 若い人にもあり、家族歴が多い。心電図は高電位のことが多い。中隔が後壁よりずっと厚い |
|---|---|
| 心サルコイドーシス | 心室中隔の基部が薄くなる。房室ブロック。ぶどう膜炎・両側肺門リンパ節腫脹 |
| 拡張型心筋症 | 左室が大きく、壁は薄く、全体に動きが悪い(駆出率↓) |
| 心タンポナーデ | 低電位だが、壁は厚くない。心膜液があり、右室が拡張期につぶれる |
ネフローゼのとき
| 膜性腎症 | 中高年に多い。Congo red陰性。IgGが係蹄壁に顆粒状、基底膜にスパイク。悪性腫瘍・B型肝炎・薬(ブシラミンなど)でも起こる |
|---|---|
| 糖尿病腎症 | 長い糖尿病歴と網膜症。HbA1cが高い |
| ループス腎炎 | 若い女性。抗核抗体・抗dsDNA抗体が陽性で、補体が低い |
そのほか
| 先端巨大症 | 巨舌と手根管症候群を起こす。眉弓部の膨隆・下顎の突出・手足の容積の増大。GH・IGF-Ⅰが高い |
|---|---|
| 脳アミロイドアンギオパチー | 高齢者の皮質下出血(くり返す)。脳の血管の壁にアミロイドβがたまる、脳だけの病気 |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
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まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
血清・尿にM蛋白があり、遊離軽鎖のκ/λ比が大きくずれている。アミロイドーシスの病型は?★★★
AL型(免疫グロブリンの軽鎖)
単クローン性に増えた形質細胞が軽鎖(λ型が多い)をつくる。多発性骨髄腫に合併することもある。心臓・腎・舌・消化管・神経など、全身にたまる。
- Q2
長く続く関節リウマチに合併するアミロイドーシスの病型は?★★★
AA型(血清アミロイドA)
炎症が続くと、肝臓が血清アミロイドA(SAA)をつくり続ける。腎と消化管にたまり、ネフローゼと下痢で気づく。治療は、もとの炎症を抑えること。
- Q3
高齢者に多い野生型(老人性)のATTRアミロイドーシスで、たまる蛋白は?★★★
トランスサイレチン
肝臓でつくられ、甲状腺ホルモン(サイロキシン)を運ぶ蛋白。免疫グロブリンの軽鎖がたまるのはAL型。
- Q4
生検組織で、アミロイドの沈着を確かめる染色は?★★★
Congo red染色(偏光顕微鏡で緑色に光る)
光学顕微鏡では橙赤色に染まる。腎生検でCongo redが陰性なら、アミロイド腎症は考えにくい。Grocott染色は真菌(ニューモシスチスなど)、Ziehl-Neelsen染色は抗酸菌を見る。
- Q5
心アミロイドーシスの心電図で、特徴的な所見は?★★★必修
低電位(壁が厚いのに電位が低い)
厚くなった壁の中身は心筋ではなくアミロイドなので、電位は上がらない。肥大型心筋症や高血圧性心肥大は高電位になりやすく、見分けに使える。
- Q6
心アミロイドーシスの心エコーで、左室の壁はどう見える?★★★必修
全周性に厚く、輝度が高い
内腔は広がらず、駆出率は保たれる。両心房は大きくなる。
- Q7
心アミロイドーシスで、息切れ・浮腫が出る主な病態は?★★★必修
拡張障害によるうっ血(収縮は保たれる)
硬い心室が広がらず、充満圧が上がって肺と全身に血がたまる。駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の形をとることが多い。
- Q8
M蛋白のない高齢者の心アミロイドーシス。ATTR型の診断に役立つ核医学検査は?★★★
99mTcピロリン酸シンチグラフィ(心臓に集まる)
ATTRのアミロイドが沈着した心筋に、よく集まる。冠動脈造影・心臓電気生理検査では、心筋への沈着は分からない。
- Q9
心アミロイドーシスの確定診断に役立つ生検は?★★★
心筋生検(心内膜心筋生検)
Congo red染色で沈着を確かめ、免疫染色などで病型を決める。腹壁の脂肪や消化管の生検で見つかることもある。
- Q10
ALアミロイドーシスの生命予後を判断するのに役立つ検査は?★★★
心エコー(心臓の病変の程度をみる)
予後は心臓の病変で決まる。いまはBNP(NT-proBNP)とトロポニンも合わせて重症度をみる。
- Q11
アミロイドーシスで、腎に起こりやすい症候群は?★★★
ネフローゼ症候群
糸球体にアミロイドがたまり、蛋白が大量にもれる。成人のネフローゼでは、膜性腎症とともに考える。AL型・AA型に多い。
- Q12
AL型のアミロイドーシスで、口の中に見られる特徴的な所見は?★★★
巨舌
舌にアミロイドがたまり、大きく硬くなる。舌が大きくなるのは、先端巨大症・甲状腺機能低下症・Down症候群でも。
- Q13
野生型ATTRアミロイドーシスで、心不全より何年も前に起こりやすい手の病気は?★★★
両側の手根管症候群
手根管の靱帯にアミロイドがたまり、正中神経を押さえる。腰部脊柱管狭窄症も多い。高齢男性の心不全で、両側の手根管症候群の手術歴があれば疑う。
- Q14
遺伝性のATTRアミロイドーシス(家族性アミロイドポリニューロパチー)で、早くから出る神経の症状は?(2つ)★★★
下肢から始まる感覚障害(温痛覚)・自律神経障害
自律神経障害は、起立性低血圧・下痢や便秘・排尿障害・勃起障害。感覚が落ちるので褥瘡もできやすい(ALSではできにくい)。神経伝導検査は軸索障害の型で、脱髄の型ならCIDPを考える。