高血圧緊急症
著しい高血圧と臓器障害から、悪性高血圧の眼底・降圧の速さまで
6問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 血圧が著しく高く(多くは180/120 mmHg以上)、脳・心臓・腎臓などの臓器障害が急に進むのが高血圧緊急症。高血圧性脳症・急性肺水腫・悪性高血圧など。治療していない・薬をやめた高血圧に多い。
- 著しい高血圧で腎機能が急に悪くなるなら悪性高血圧を考え、降圧の準備をしながら、まず眼底検査(乳頭浮腫)。
- 入院してCa拮抗薬(ニカルジピン)の持続静注。最初の1時間は平均血圧の25%以内にとどめる。ニフェジピンの舌下投与はしない。
高血圧緊急症とは
血圧が急に著しく上がり(多くは180/120 mmHg以上)、そのために脳・心臓・腎臓・大血管の障害が急に進む状態。血圧の値ではなく、臓器障害が進んでいるかで決める。入院して、すぐに静注薬で下げ始める。治療していない高血圧や、薬の自己中断の人に多い。代表は次の3つと、急性大動脈解離(→大動脈解離)・褐色細胞腫クリーゼ(α遮断薬で下げる。→褐色細胞腫)。
| 高血圧性脳症 | 頭痛・悪心・嘔吐から、意識障害(けいれんも)。脳の血流を一定に保つしくみが追いつかず、脳がむくむ。眼底にうっ血乳頭。頭部CTで出血・梗塞がない |
|---|---|
| 加速型-悪性高血圧 | 拡張期が120〜130 mmHg以上で、腎機能が急に悪くなる。眼底に乳頭浮腫(→次の節) |
| 急性肺水腫(急性心不全) | 急な呼吸困難・起坐呼吸、両肺のcrackles、BNP↑。左室の収縮は保たれていることが多い。高い血圧に逆らって左室が血を送り出せず、肺にうっ血する |
- 子癇(→妊娠高血圧症候群)、高い血圧を伴う脳出血・急性冠症候群なども、高血圧緊急症として扱う。
- 肺動脈性肺高血圧症は含まない(上がるのは肺動脈の圧で、体の血圧ではない)。
- 高血圧切迫症:血圧は著しく高いが、臓器障害は進んでいない。内服薬で、1〜2日かけて下げる(静注で急いで下げない)。
画像で出たら 急性肺水腫の胸部X線は、両側の肺門から広がる肺うっ血。心エコーでは左室の収縮が保たれ、弁膜症もない(拡張型心筋症・弁膜症との違い)。
悪性高血圧:腎と眼底
著しい高血圧で全身の細い動脈が傷み、腎機能が数週のうちに急に悪くなる(尿蛋白・血尿も出る)。放っておくと、腎不全・心不全・脳卒中に進む。
| 眼底 | 乳頭浮腫。網膜の出血・白斑も。視力が落ちることもある |
|---|---|
| 腎 | クレアチニンが急に上がる。尿蛋白・尿潜血 |
| 血液 | 血小板減少・貧血。傷んだ細い血管の中で血小板が固まり、赤血球が壊れる(血栓性微小血管症。破砕赤血球が出る) |
- 疑ったら、降圧の準備をしながら、まず眼底検査。目の血管で、臓器障害の重さがその場で分かる。
- すぐに腎生検はしない(高い血圧と血小板減少で出血しやすい)。すぐに透析もしない(まず降圧。下げると腎機能が戻ることもある)。
治療:静注でゆっくり下げる
入院して血圧を続けて測りながら、静注のCa拮抗薬(ニカルジピン)を持続投与する。点滴の速さで、下げる幅を細かく調節できる。高血圧性脳症も、下げれば治る(降圧を控えるのは脳梗塞の急性期)。
- ① 最初の1時間平均血圧の25%以内
- ② 次の2〜6時間160/100〜110 mmHgへ
- ③ その後1〜2日ゆっくり下げ、内服へ
- 急に下げすぎない。高い血圧が長く続いた人の脳・腎は、高い血圧で血流を保つように慣れていて、急に下げると脳梗塞・腎障害・心筋虚血を起こす。
- 使わない:ニフェジピンの舌下投与(どこまで下がるか読めず、下がりすぎる)・硝酸薬の舌下や貼り薬(調節できない)・内服薬(ARBなど)で様子を見ること(効き始めが遅い)。
- 大動脈解離は例外で、すぐに収縮期100〜120 mmHgまで下げる(→大動脈解離)。急性肺水腫は、硝酸薬なども使って下げる(→心不全)。
似た病気との見分け
高い血圧に、急な呼吸困難のとき
| 拡張型心筋症 | 左室が大きく、収縮が落ちている。数か月〜年の単位で進む |
|---|---|
| 閉塞性肥大型心筋症 | 心室中隔が厚く、左室流出路に圧較差。収縮期雑音 |
| 不安定狭心症 | 胸痛が主。くり返す・強まる胸痛と、心電図のST変化 |
| 急性心膜炎 | 吸気・仰臥位で強まり、前かがみで楽になる胸痛。心膜摩擦音。広い範囲のST上昇 |
高い血圧に、頭痛・意識障害のとき
| 脳出血 | 片麻痺などの局所症状。頭部CTで高吸収域 |
|---|---|
| 脳梗塞(急性期) | 局所症状。発症早期はCTに写らないことがあり、MRI拡散強調像で高信号。血圧は原則として下げない(とても高いときや、血栓溶解療法をするときは下げる) |
| 子癇 | 妊娠中〜産褥のけいれん。硫酸マグネシウムと降圧薬(→妊娠高血圧症候群) |
高い血圧に、腎機能の急な悪化のとき
| 急速進行性糸球体腎炎 | 数週で進む腎機能の悪化に、血尿・蛋白尿。ANCA・抗GBM抗体が手がかり。免疫の病気なので、ステロイド・免疫抑制薬で治療する |
|---|---|
| 強皮症腎クリーゼ | 全身性強皮症(皮膚の硬化・Raynaud現象)の人の、急な高血圧と腎障害。ACE阻害薬で下げる |
| 血栓性血小板減少性紫斑病 | 血小板減少・溶血性貧血に、発熱・精神神経症状・腎障害。ADAMTS13活性が著しく低い。血漿交換 |
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まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
著しい高血圧で、脳・心臓・腎臓・大血管の障害が急に進んでいる状態は?★★★
高血圧緊急症
多くは180/120 mmHg以上だが、値ではなく臓器障害が進んでいるかで決める。臓器障害が進んでいなければ高血圧切迫症で、内服薬で1〜2日かけて下げる。
- Q2
高血圧を放置していた人が、頭痛・嘔吐のあと意識がもうろうとしてきた。血圧は220/130 mmHgを超え、眼底にうっ血乳頭。頭部CTで出血はない。考える病気は?★★★
高血圧性脳症
脳の血流を一定に保つしくみが、高すぎる血圧に追いつかず、脳がむくむ。脳出血・脳梗塞をCTやMRIで除いて考える。
- Q3
高血圧を放置していた人の急な呼吸困難。両肺にcrackles、BNPが高く、心エコーで左室の収縮と弁は正常。何が起こっている?★★★
高血圧緊急症(高い血圧による急性肺水腫)
高い血圧に逆らって左室が血を送り出せず、肺にうっ血する。収縮が保たれ、弁膜症もないことが、拡張型心筋症や弁膜症との違い。
- Q4
拡張期血圧が130 mmHgを超え、クレアチニンが数週で急に上がり、眼底に乳頭浮腫。何という?★★★
加速型-悪性高血圧(悪性高血圧)
全身の細い動脈が傷み、腎機能が急に悪くなる。放っておくと腎不全・心不全・脳卒中に進む。治療していない・薬をやめた高血圧に多い。
- Q5
著しい高血圧に、急な腎機能の悪化。降圧の準備をしながら、まず行う検査は?★★★
眼底検査(乳頭浮腫・網膜の出血・白斑)
臓器障害の重さが、その場ですぐ分かる。神経の症状がなければ、頭部CTは急がない。
- Q6
高血圧緊急症の降圧に使う薬と、その投与のしかたは?★★★
Ca拮抗薬(ニカルジピン)の持続静注
点滴の速さで、下げる幅を細かく調節できる。内服薬は効き始めが遅く、調節もしにくい。
- Q7
高血圧緊急症で、降圧を始めて最初の1時間に下げる幅の目安は?★★★
平均血圧の25%以内
次の2〜6時間で160/100〜110 mmHgを目安にし、その後1〜2日かけて内服に移る。急に下げると、脳・腎・心臓の血流が落ちる。大動脈解離は例外で、すぐに下げる。
- Q8
悪性高血圧に、血小板減少と貧血(破砕赤血球)を伴う。細い血管で何が起きている?★★★
血栓性微小血管症(TMA)
傷んだ細い血管の中で血小板が固まり、赤血球が壊れる。血圧が下がると落ち着くことが多い。TTP(ADAMTS13活性が著しく低い)とは分けて考える。
選択肢の○×
病態
- 1
肺動脈性肺高血圧症による呼吸不全は、高血圧緊急症に含まれる。116A12
上がるのは肺動脈の圧で、体の血圧ではない。急性大動脈解離・褐色細胞腫クリーゼ・乳頭浮腫を伴う脳浮腫・肺水腫を伴う急性心不全は含まれる。