狭心症
労作性と冠攣縮性の見分けから、検査・薬・PCI/CABGまで
31問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 階段・坂道などの労作で胸が締めつけられ、休むと数分で治まるのが労作性狭心症。発作にはニトログリセリン舌下。発作のない時の心電図は正常のことが多い。
- 夜間〜早朝の安静時に起こり、冠動脈に狭窄がないなら冠攣縮性狭心症。アセチルコリン負荷で誘発して確かめる。予防はCa拮抗薬で、β遮断薬は使わない。
- 虚血は負荷心筋血流シンチ、狭窄は冠動脈造影で見る。血行再建は虚血がある時に行い、左主幹部・3枝病変はCABG。アスピリンとスタチンは続ける。
典型像:労作性と冠攣縮性
| 労作性狭心症 | 冠攣縮性狭心症 | |
|---|---|---|
| 起こる時 | 階段・坂道・早歩きなどの労作。食後・寒い時にも | 夜間〜早朝の安静時。労作では起こらないことが多い |
| 痛み | 締めつけ・圧迫感が頸部・肩・左腕へ広がる。胸痛ではなく息切れだけのことも | |
| 続く時間 | 数分(長くても15分ほど)。数秒で消える痛みは狭心症らしくない | |
| 発作中の心電図 | ST低下 | ST上昇(異型狭心症)。ST低下のことも |
| 冠動脈 | 動脈硬化による固定した狭窄 | 狭窄がない。発作の時だけ強く縮む(攣縮) |
| 発作の時 | ニトログリセリン舌下(スプレーも)。数分以内に効く | |
| 予防の薬 | β遮断薬・Ca拮抗薬・長時間作用型の硝酸薬 | Ca拮抗薬・硝酸薬。β遮断薬は使わない |
- 緊急性は「最近どんな時に痛むか」で判断する。前より軽い労作や安静時にも起こる、回数が増えた、長く続くようになったら、不安定狭心症(急性冠症候群)として急ぐ。
検査:虚血と狭窄を確かめる
- ① 安静時心電図発作がなければ正常のことが多い
- ② 負荷心電図トレッドミル・Master2階段
- ③ 負荷心筋血流シンチ・冠動脈CT虚血の場所/狭窄の有無
- ④ 冠動脈造影確定。そのままPCIも
| 負荷心電図 | 運動中のST低下で虚血をみる。安静時の心電図に異常(左脚ブロック・もとからのST変化など)があると判定しにくい |
|---|---|
| 負荷心筋血流シンチ | 負荷時に欠け、安静時に戻る(可逆性の欠損)=虚血。負荷時も安静時も欠けたまま=陳旧性心筋梗塞。心電図で判定できない時にも使える。運動できなければ薬(アデノシン)で負荷 |
| 冠動脈CT | 狭窄があるかを外来で見る。狭窄がなければ器質的な狭窄はほぼ否定できる。虚血があるかは分からない |
| 冠動脈造影 | 狭窄の場所と程度を確かめる。そのままPCIもできる |
- 治療は、狭窄の見た目ではなく、虚血があるかで決める。薬で症状が消え、負荷でも虚血がなければ、薬を続けて経過をみる。
- 急性冠症候群が否定できない胸痛には、負荷をかけない(→急性冠症候群)。
画像で出たら 負荷心筋血流シンチの短軸像はドーナツ形で、上が前壁、左が中隔、下が下壁、右が側壁。負荷時だけ一部が欠け、安静時には埋まっていれば虚血(前壁〜中隔なら左前下行枝の領域)。冠動脈造影の狭窄は、血管が急に細くくびれて映る。左冠動脈主幹部は、前下行枝と回旋枝に分かれる手前の短い部分。
治療:薬・PCI・CABG
| 発作の時 | ニトログリセリン舌下。PDE5阻害薬(シルデナフィルなど)を飲んでいる人には硝酸薬を使わない(血圧が下がりすぎる) |
|---|---|
| 発作を防ぐ | 労作性はβ遮断薬(心拍数を下げ、心筋の酸素の消費を減らす)・Ca拮抗薬・長時間作用型の硝酸薬(冠攣縮性は次の節) |
| 二次予防 | アスピリン+スタチンを続ける(PCI・CABGの後も)。禁煙と、血圧・血糖・脂質の管理 |
| PCI | 虚血を起こしている狭窄にステントを入れる。ステントの後は、抗血小板薬を自分の判断でやめない(ステント血栓症) |
| CABG | 左冠動脈主幹部の病変・3枝病変。左内胸動脈を左前下行枝へつなぐのが基本 |
| 適応にならない | 冠攣縮性狭心症(固定した狭窄がない)。PCIもCABGもしない |
- グラフトに使う血管:内胸動脈・橈骨動脈・右胃大網動脈・大伏在静脈。
- 左冠動脈主幹部の病変では、その先の左前下行枝と左回旋枝にバイパスをつなぐ(主幹部そのものにはつながない)。
冠攣縮性狭心症
冠動脈が一時的に強く縮んで(攣縮)、血流がとだえる。起こる時と心電図は、典型像の表のとおり。喫煙・飲酒・ストレスが誘因。
| とらえる | 発作は病院では起こりにくい。Holter心電図で、発作の時のST変化をとらえる |
|---|---|
| 確かめる | 冠動脈造影で狭窄がないことを見てから、アセチルコリン(エルゴノビン)を冠動脈に注入して攣縮を誘発する。ニトログリセリンの注入で戻る |
| 検査の前 | Ca拮抗薬・硝酸薬を休む(攣縮が出にくくなり、陰性に出る) |
| 治療 | Ca拮抗薬が第一(硝酸薬も)。β遮断薬は使わない(攣縮を強める) |
| 生活 | 禁煙・節酒・ストレスを避ける |
危険因子と無痛性心筋虚血
| 危険因子 | 喫煙・高血圧・糖尿病(境界型も)・脂質異常症・若くして発症した冠動脈疾患の家族歴(男性55歳未満・女性65歳未満)・加齢・男性 |
|---|---|
| 生活習慣 | 食塩のとりすぎ・食べすぎ・運動不足・トランス脂肪酸のとりすぎ(LDL↑・HDL↓)・長時間労働 |
| 数えない | 少量の飲酒。ただし、健康のために飲むことはすすめない |
| 無痛性心筋虚血 | 糖尿病(自律神経障害で痛みが伝わりにくい)・高齢者・心筋梗塞の後に多い。予後は痛みのある例と同じかそれより悪く、治療の適応も同じ |
似た病気との見分け
| 不安定狭心症 | 発作が増える、軽い労作や安静時にも起こる、長く続く。急性冠症候群として入院し、負荷はかけない |
|---|---|
| 大動脈弁狭窄症 | 労作時の胸痛・失神・息切れ。胸骨右縁第2肋間の収縮期駆出性雑音が頸部へ広がる。冠動脈に狭窄がなくても狭心痛が出る |
| 肥大型心筋症 | 若い人の労作時の胸痛・失神、突然死の家族歴。硝酸薬で悪くなる |
| 食道の病気 | 胃食道逆流症・食道けいれん。食後・横になった時・飲み込む時に痛み、飲水や制酸薬で楽になる |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
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まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
決まった労作で胸が締めつけられ、休むと数分で治まる。考える病気は?★★★必修
労作性狭心症
階段・坂道・早歩きなど、心臓の仕事が増えた時に起こる。冠動脈の動脈硬化による狭窄で、血流が足りなくなる。
- Q2
狭心症の発作は、ふつうどのくらい続く?★★★必修
数分(長くても15分ほど)
数秒で消える痛みは狭心症らしくない。20分以上続けば急性冠症候群を考える。
- Q3
狭心症の発作が、胸痛ではなく何として出ることがある?★★★必修
息切れ(呼吸困難)
労作で息が切れ、休むと数分で治まる。悪心を伴うこともある。高齢者や糖尿病の人に多い。
- Q4
狭心症の発作が起こった。まず使う薬は?★★★
ニトログリセリン(舌下)
労作性でも冠攣縮性でも、数分以内に効いて治まる。舌下して1時間たってから治まった痛みは、効いたとはいえない。
- Q5
労作性狭心症の患者。緊急性を判断するのに一番大事な問診は?★★★必修
最近、どんな時に痛むか(起こり方の変化)
前より軽い労作や安静時にも起こる、回数が増えた、長く続くようになったら、不安定狭心症として急ぐ。
- Q6
労作性狭心症で、運動負荷の最中に出る心電図の変化は?★★★
ST低下
心内膜側の虚血を示す。冠攣縮の発作では、ST上昇のことがある。
- Q7
運動負荷心電図でST低下が出た。狭窄を確かめる検査は?★★★
冠動脈造影
狭窄の場所と程度が分かり、そのままPCIもできる。Holter心電図・心エコーでは確定できない。
- Q8
負荷心筋血流シンチで、負荷時に欠け、安静時には戻る。何を示す?★★★
虚血(冠動脈の狭窄)
負荷で血流が足りなくなる所が欠ける。欠けた場所が虚血の場所で、前壁なら左前下行枝の領域。
- Q9
安静時の心電図に異常があり、負荷心電図では判定できない。虚血を確かめる検査は?★★★
負荷心筋血流シンチ
心電図に頼らず、血流の落ちる場所を画像で見る。Holter心電図は冠攣縮、FDG-PETは心筋が生きているかや心サルコイドーシス、MIBGは心臓の交感神経を見る検査。
- Q10
冠動脈CTで狭窄が疑われたが、薬で症状が消え、負荷心筋シンチでも虚血がない。方針は?★★★
薬を続けて経過をみる
アスピリン・スタチンなどと危険因子の管理を続ける。狭窄はあるので、薬はやめない。
- Q11
PCIもCABGも適応にならない狭心症は?★★★
冠攣縮性(異型)狭心症
固定した狭窄がないので、薬(Ca拮抗薬・硝酸薬)で治す。狭窄と虚血のある労作性狭心症は、PCIの適応になる。
- Q12
冠動脈造影で、左冠動脈主幹部に狭窄。バイパスをつなぐ先は?(2つ)★★★
左前下行枝・左回旋枝
主幹部の先の2本につなぐ。主幹部そのものにはつながない。左主幹部や3枝の病変は、CABGを選ぶ代表。
- Q13
CABGで、左前下行枝につなぐ基本のグラフトは?★★★
左内胸動脈
長く開いたままでいる。ほかに橈骨動脈・右胃大網動脈・大伏在静脈も使う(気管支動脈は使わない)。
- Q14
冠動脈バイパス術の後に続ける薬は?(2つ)★★★
アスピリン・スタチン
グラフトとほかの冠動脈の動脈硬化を抑える。心不全や不整脈がなければ、利尿薬・ジギタリスは要らない。
- Q15
冠攣縮性狭心症の発作が起こりやすいのは?★★★必修
夜間〜早朝の安静時
労作では起こらないことが多く、冠動脈造影でも狭窄がない。夕方に多いわけではない。
- Q16
冠攣縮性狭心症の発作中の心電図は?★★★
ST上昇(治まると元に戻る)
冠動脈が詰まるほど強く縮むため。異型狭心症とも呼ぶ。
- Q17
冠攣縮を誘発して確かめる検査で、冠動脈に注入する薬は?★★★
アセチルコリン(エルゴノビン)
攣縮・胸痛・ST変化が出れば陽性。ニトログリセリンの注入で元に戻る。
- Q18
アセチルコリン負荷試験の前に休む薬は?★★★
Ca拮抗薬(硝酸薬も)
攣縮が起こりにくくなり、陰性に出てしまう。スタチン・ARB・DPP-4阻害薬は検査の結果に影響しない。
- Q19
冠攣縮性狭心症の発作を防ぐ第一の薬は?★★★
Ca拮抗薬(硝酸薬も)
冠動脈を広げ、攣縮を起こりにくくする。長く効くものを使い、夜間〜早朝の発作に備える。
- Q20
冠動脈疾患の危険因子になる生活習慣は?(4つ)★★★必修
喫煙・食塩のとりすぎ・食べすぎ・運動不足
禁煙・減塩・野菜を多くとることで危険を下げる。
- Q21
冠動脈疾患の危険因子として数える家族歴は?★★★
若くして発症した冠動脈疾患(男性55歳未満・女性65歳未満)
父親が49歳で心筋梗塞、など。境界型の耐糖能異常も危険因子に数える。
- Q22
痛みのない心筋虚血(無痛性心筋虚血)を起こしやすい病気は?★★★
糖尿病
自律神経障害で痛みが伝わりにくい。高齢者や心筋梗塞の後にも多い。
- Q23
運動のできない人に負荷心筋血流シンチを行う。運動の代わりにするのは?★★★
薬による負荷(アデノシンなど)
冠動脈を広げ、狭窄のある所とない所の血流の差を出す。
- Q24
冠攣縮性狭心症で、夜間〜早朝の発作をとらえる検査は?★★★
Holter心電図
発作は病院では起こりにくい。24時間記録して、発作の時のST変化をとらえる。
- Q25
冠攣縮性狭心症で、薬のほかに指導することは?(3つ)★★★
禁煙・節酒・ストレスを避ける
喫煙は冠攣縮の一番の危険因子。
選択肢の○×
検査
治療
- 3
ステント留置の後、胸痛がなくなれば、アスピリンはやめてよい。104I46
やめるとステント血栓症で、狭心症や心筋梗塞が起こる。自分の判断でやめないよう伝える。
冠攣縮性
危険因子
- 5少量の飲酒は数えない。生活習慣病の危険を高める量は、純アルコールで1日に男性40g(日本酒2合)・女性20g(1合)以上。ただし、健康のために飲むことはすすめない。
- 6
トランス脂肪酸を多くとると、冠動脈疾患の危険が下がる。113E24
LDLを上げ、HDLを下げて、危険を高める。マーガリン・ショートニングを使った菓子や揚げ物に多い。 - 7見つかるのが遅れ、予後は同じかそれより悪い。CABGやPCIの適応も、痛みのある例と同じ。若い人に多いわけではない。