出る順8

感染性心内膜炎

続く発熱と心雑音から、血液培養・心エコー・治療まで

25問
第101〜120回

マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題

まずこれだけ

  1. 数週間つづく発熱に新しい心雑音があれば感染性心内膜炎。抜歯などの歯科治療のあとや、指先の痛む結節(Osler結節)・脳塞栓が手がかり。
  2. 抗菌薬を始める前に血液培養を複数セット、続けて心エコーで疣贅を探す。血液から黄色ブドウ球菌が出たら、心エコーでIEを探す。
  3. 合併症は脳塞栓・脳出血・心不全。治療は殺菌的な抗菌薬の点滴。抑えられない心不全・弁周囲膿瘍・塞栓のくり返しは手術。

起こり方と危険因子

感染性心内膜炎(IE)は、血液に入った菌が弁や心内膜に付いて増え、疣贅(菌と血栓のかたまり)をつくる。疣贅は弁を壊し(逆流・心不全)、はがれて全身の動脈に飛ぶ(塞栓)。菌が血液に入るきっかけと、菌が付きやすい心臓の2つで整理する。

菌が入るきっかけ抜歯などの歯科治療(扁桃摘出術など口の中の手術も)・血管内のカテーテル(透析・中心静脈ポート)
菌が付きやすい心臓弁膜症(僧帽弁・大動脈弁の逆流)・人工弁・手術していない心室中隔欠損症。速い血流が当たって傷んだ内膜に付く
緑色連鎖球菌口の中の常在菌。歯科治療のあと。ゆっくり(亜急性に)進む
黄色ブドウ球菌皮膚・カテーテルから入る。急に進み、短い期間で弁を壊す
  • 機械弁と生体弁で、IEの起こりやすさに大きな差はない。

症状と身体所見

数週間つづく発熱(解熱薬・かぜ薬で下がっては上がる)に、新しい逆流性の心雑音があればIEを考える。不明熱の代表。

心雑音心尖部の全収縮期雑音(僧帽弁閉鎖不全)、胸骨左縁第3肋間の拡張期雑音(大動脈弁閉鎖不全)
指先・手足Osler結節:指先・足趾の腹にできる、痛む赤い結節。Janeway病変:手掌・足底の、痛まない小さな出血斑
眼眼瞼結膜の点状出血、眼底のRoth斑(中心が白い網膜の出血。皮膚の所見ではない)
血液貧血、赤沈・CRPの上昇、γグロブリンの上昇

合併症

塞栓最も注意するのは脳塞栓(突然の片麻痺・めまい・構音障害)。四肢の動脈に詰まると、急に痛み、白く冷たくなり、脈が触れない
脳出血脳梗塞だけでなく、脳出血も起こる。感染性脳動脈瘤(細菌が動脈の壁を壊してできる。頭部MRAで見つかる)の破裂や、梗塞が出血に変わる(出血性梗塞)
心不全弁が壊れて(弁穿孔など)逆流が急に強まり、心不全になる。息切れ・起座呼吸・肺うっ血。手術を考える最も多い理由
弁周囲膿瘍菌が弁輪の周りに広がって膿瘍をつくる。抗菌薬だけでは治りにくい
  • 僧帽弁・大動脈弁(左心系)の疣贅は、全身の動脈(脳・四肢・腎・脾)に飛ぶ。肺塞栓は起こしにくい(肺に飛ぶのは三尖弁など右心系の疣贅)。

検査の順番

  1. ① 血液培養抗菌薬の前に複数セット
  2. ② 経胸壁心エコー疣贅・弁の逆流
  3. ③ 経食道心エコー疣贅を見つける感度が最も高い
  4. ④ 血液培養の再検陰性になったかを確かめる
  • 抗菌薬を始める前に、血液培養を複数セット(時間をあけ、別の部位から)。不明熱でIEを疑えば、尿・便・痰・髄液より血液の培養を優先する。
  • 先に抗菌薬を使うと、熱は一時下がっても培養が陰性になりやすく、診断が遅れる。
  • 診断の柱は、血液培養と心エコー(疣贅・弁の逆流)の2つ(Duke基準の大基準)。
  • 疣贅を見つける感度は経食道心エコーが最も高い(CT・MRI・シンチより鋭敏)。経胸壁で疣贅が見えなくても否定できない。
  • 血液培養で黄色ブドウ球菌(ブドウの房のように集まるGram陽性球菌)が出たら、心雑音がなくても心エコーでIEを探す。治療を始めたら血液培養をくり返し、陰性になったのを確かめる。熱が続く、心不全や塞栓が出てきたときは心エコーもやり直す。
  • 脳や下肢に塞栓が起きても、まず血液培養と心エコー(頸動脈超音波・下肢静脈造影ではない)。

画像で出たら 心エコーでは、弁(または心室中隔欠損の近く)に付いて揺れ動く塊(疣贅)と、カラードプラで逆流のジェットが見える。頭部MRIでは散らばった小さな脳梗塞、頭部CTでは脳出血。

治療と予防

抗菌薬血液培養を採ったら、抗菌薬の点滴を始める(緊急手術・ステロイドではない)。結果が出たら菌に合わせて変える。殺菌的な薬を大量に、点滴で数週間
緑色連鎖球菌ベンジルペニシリン(ペニシリンG)。静菌的な内服薬(ミノサイクリン・クラリスロマイシン)は使わない
手術抑えられない心不全・弁穿孔・弁周囲膿瘍・大きくなる疣贅と塞栓には弁置換など
手術を待つ脳出血のあとの昏睡。人工心肺でヘパリンを使い、出血が広がる
予防人工弁・IEの既往など危険の高い人は、抜歯の前に抗菌薬(アモキシシリン)を1回飲む

似た病気との見分け

発熱と心雑音・塞栓があるとき

左房粘液腫発熱・体重減少・関節痛と脳塞栓。体位で変わる拡張期雑音。心エコーで左房に動く腫瘤
全身性エリテマトーデス若い女性。蝶形紅斑・関節炎、抗核抗体が陽性。弁に菌のいない疣贅(Libman-Sacks心内膜炎)ができることがある
リウマチ熱A群溶連菌の咽頭炎の2〜3週後。輪状紅斑・多関節炎・心炎。あとに僧帽弁狭窄症などの弁膜症を残す

血液から黄色ブドウ球菌が出たとき

カテーテル関連血流感染症中心静脈カテーテル・ポートの刺入部が赤く痛む。カテーテルを抜き、心エコーでIEも探す
化膿性脊椎炎高齢者・糖尿病・透析の、発熱と腰痛(棘突起の叩打痛)。MRIで診断し、心エコーでIEも探す

合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。

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一問一答

  1. Q1

    IEのきっかけとして、病歴で必ず聞く処置は?★★★必修

    抜歯などの歯科治療

    口の中の菌が血液に入る。数週間前の処置のこともある。扁桃摘出術など、口の中の手術も同じ。

    120B35118A22105D40101A19106I42

  2. Q2

    IEを起こしやすい心臓は?(3つ)★★★

    弁膜症(僧帽弁・大動脈弁の逆流)・人工弁・心室中隔欠損症

    逆流や短絡の速い血流が当たり、傷んだ内膜に菌が付く。

    114A69116D21111D49111A15117A68

  3. Q3

    歯科治療のあとのIEで、多い原因菌は?★★★

    緑色連鎖球菌(口の中の常在菌)

    血液培養ではGram陽性球菌。ゆっくり(亜急性に)進み、多くはペニシリンが効く。

    118A22101A19

  4. Q4

    皮膚や血管内のカテーテル(透析・中心静脈ポート)から入り、IEを起こす菌は?★★★必修

    黄色ブドウ球菌

    急に進み、短い期間で弁を壊す。血液培養では、ブドウの房のように集まったGram陽性球菌に見える。

    110A23116F69117C67116B27

  5. Q5

    解熱薬で下がっては上がる発熱が数週間。新しい心雑音がある。考える病気は?★★★必修

    感染性心内膜炎

    不明熱の代表。かぜ薬・解熱薬・抗菌薬で様子を見るうちに、診断が遅れやすい。

    108H37113D74116D21107A32104D25102D23114A69

  6. Q6

    IEで新しく聴こえやすい心雑音は?(2つ)★★★必修

    心尖部の全収縮期雑音(僧帽弁閉鎖不全)・胸骨左縁第3肋間の拡張期雑音(大動脈弁閉鎖不全)

    疣贅が弁を壊して逆流が起こる。前からあった雑音が強くなることもある。

    108H37113D74110A23118A22120B35103I80104I47107A32111D49

  7. Q7

    IEで、指先や足趾の腹にできる、痛みのある赤い結節は?★★★必修

    Osler結節

    免疫の反応で起こる小さな血管炎とされる。手掌・足底にできる痛まない小さな出血斑は、Janeway病変。

    117B06108H38120B35102D23104I47118A22101A19116F69

  8. Q8

    IEで、眼に見える所見は?(2つ)★★★必修

    眼瞼結膜の点状出血・眼底のRoth斑

    Roth斑は中心が白い網膜の出血で、皮膚の所見ではない。

    104I47120B35103I80105D40117B06

  9. Q9

    IEで、疣贅がはがれて起こる合併症のうち、最も注意するのは?★★★

    脳塞栓症

    突然の片麻痺・めまい・構音障害で来る。人工弁の人の発熱と片麻痺も、まずこれ。下肢の動脈に詰まると、急に痛み、白く冷たくなる。

    107A32111D49103I80105D40104D25101A19113D74

  10. Q10

    IEで、細菌が脳の動脈の壁を壊してでき、破れると脳出血になる動脈瘤は?★★★

    感染性脳動脈瘤(細菌性動脈瘤)

    頭部MRAで見つかる。塞栓でできた梗塞が出血に変わることもある(出血性梗塞)。

    101A19104D25116D21117C66

  11. Q11

    IEで、弁が壊れて逆流が急に強まると起こるのは?★★★

    心不全

    労作時の息切れ・起座呼吸・肺うっ血。IEで手術を考える最も多い理由。

    101A19104D25105D40116F69118A22116D21

  12. Q12

    IEを疑ったら、最初に行う検査は?★★★必修

    血液培養(抗菌薬の前に、複数セット)

    時間をあけ、別の部位から採る。尿・便・痰・髄液の培養より優先する。

    120B35108H37102D23103I80104I47113D74114A69

  13. Q13

    血液培養に続けて行い、疣贅と弁の逆流を見る検査は?★★★

    心エコー(まず経胸壁)

    診断の柱は、血液培養と心エコーの2つ(Duke基準の大基準)。

    102D23103I80110A23113D74114A69

  14. Q14

    疣贅を見つける感度が最も高い検査は?★★★

    経食道心エコー

    食道から、心臓のすぐ後ろで見る。CT・MRI・PET・シンチより鋭敏。人工弁のIEや弁周囲膿瘍も見つけやすい。

    109G24114F04

  15. Q15

    血液培養から黄色ブドウ球菌が出た。心雑音がなくても行う検査は?★★★必修

    心エコー(IEを探す)

    黄色ブドウ球菌の菌血症は、IEを合併しやすい。化膿性脊椎炎やカテーテル感染で見つかったときも同じ。

    116B27109B54117C67

  16. Q16

    黄色ブドウ球菌の菌血症。治療を始めたあと、血液培養をもう一度採るのはなぜ?★★★

    陰性になったことを確かめるため

    陰性になった日から治療期間を数える。熱が続き、心不全や塞栓が出てきたら、心エコーもやり直す。

    117C67116F69

  17. Q17

    IEを疑い、血液培養を採った。結果はまだ出ていない。直ちに始める治療は?★★★

    抗菌薬の点滴

    結果が出たら、菌と薬の効き方(感受性)に合わせて変える。緊急手術・ステロイド・免疫グロブリンではない。

    106I42

  18. Q18

    緑色連鎖球菌によるIE。まず使う抗菌薬は?★★★

    ベンジルペニシリン(ペニシリンG)

    殺菌的な薬を大量に、点滴で数週間使う。ゲンタマイシンを併用することもある。

    118A22

  19. Q19

    IEで手術(弁置換など)を考える場面は?(3つ)★★★

    抑えられない心不全・弁周囲膿瘍・大きくなる疣贅と塞栓

    弁穿孔で逆流が急に強まったときも。手術のあとも抗菌薬を続ける。

    116D21

  20. Q20

    人工弁の人が抜歯を受ける。前もって行うことは?★★★

    抗菌薬(アモキシシリン)の予防内服

    IEの危険が高い人(人工弁・IEの既往など)に、処置の前に1回飲む。

    111A15

  21. Q21

    手術していない心室中隔欠損症のIEで、疣贅ができやすい所は?★★★

    欠損孔の近くの右室側

    左室から右室へ抜ける短絡の血流が当たる所。小さな欠損でも、IEの危険は残る。

    117A68

選択肢の○×

合併症

  1. 1

    僧帽弁や大動脈弁の疣贅は、肺塞栓を起こしやすい。105D40107A32

検査

  1. 2

    原因の分からない発熱には、血液培養を採る前に抗菌薬を始めてよい。114A69117A68

  2. 3

    経胸壁心エコーで疣贅が見えなければ、IEは否定してよい。104I47116F69

治療

  1. 4

    IEで脳出血を起こし昏睡になったら、すぐに弁置換術を行う。116D21

危険因子

  1. 5

    人工弁のうち機械弁は、生体弁よりIEを起こしにくい。111A15

症状

  1. 6

    IEでは、γグロブリンが低下する。104D25

検査

  1. 7

    発熱と心雑音のある人に脳塞栓や下肢の動脈閉塞が起きたら、頸動脈超音波や下肢静脈造影で塞栓源を探す。103I80113D74

  2. 8

    黄色ブドウ球菌の菌血症では、血中エンドトキシンが上がる。117C67

治療

  1. 9

    IEの治療に、内服のクラリスロマイシンやミノサイクリンを使ってよい。118A22