出る順16

心室性不整脈

期外収縮から、心室頻拍・細動、QT延長、Brugada症候群とICDまで

19問
第101〜120回

マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題

まずこれだけ

  1. 脈が触れない心室細動・心室頻拍は、すぐ胸骨圧迫と電気ショック。脈があっても血圧が下がれば、同期させて電気ショック。心室細動から蘇生した人、器質的心疾患の持続性心室頻拍で失神した人はICD。
  2. QT延長からtorsade de pointes(多形性心室頻拍)が起こり、失神をくり返す。低K血症とQTを延ばす薬を探し、マグネシウム静注・Kの補正・原因の薬の中止。
  3. 男性の突然の失神・心室細動に、V1・V2のcoved型ST上昇ならBrugada症候群で、ICDの適応。症状のない単発の心室期外収縮は経過観察。

心室期外収縮:様子を見てよいもの

心室から早いタイミングで出る1拍。心電図では、P波を伴わない幅の広いQRSが早く出て、あとに長めの休み(代償性休止)が入る。「脈が飛ぶ」感じがするが、症状のないことも多い。健康な人にもよく見られる。

経過観察でよい症状がなく、心エコーで器質的心疾患がない。Holter心電図で連発がない、運動で減る・消える。運動の制限も要らない
くわしく調べる連発する、形が何種類もある、運動で増える、症状が強い、心機能が落ちている。心エコー・Holter心電図で、器質的心疾患と心室頻拍を探す
治療するとき症状が強いとき、数が多くて心機能が落ちるときに、β遮断薬やカテーテルアブレーション

画像で出たら 洞調律の間に、P波のない幅の広いQRSがときどき早く割り込む。Holter心電図では、1日の数と連発の有無を見る。

心室頻拍と心室細動

心室期外収縮が3つ以上続くものが心室頻拍(VT)で、幅の広いQRSが同じ形で規則的に速く続く。30秒以上続くものを持続性という。多くは器質的心疾患(陳旧性心筋梗塞・心筋症・心サルコイドーシスなど)から起こる。心疾患のないもの(特発性)もある。心室がばらばらに震えて血を送れなくなるのが心室細動(VF)で、数分で死に至る(心臓突然死)。

すぐ行うこと

脈が触れない(VF・無脈性VT)心停止。すぐ胸骨圧迫と電気ショック(QRSに同期させない)。止まらなければ電気ショックをくり返し、アドレナリン・アミオダロンも(くわしくは心肺蘇生で)
脈はあるが、血圧低下・意識障害すぐ電気ショック(QRSに同期させる=カルディオバージョン)
血行動態が落ち着いている抗不整脈薬の静注(アミオダロンなど)。心機能が落ちていても、強心薬は使わない(不整脈を増やす)

再発を防ぐ

器質的心疾患のVT元の病気の治療と、β遮断薬・アミオダロン。失神を伴う持続性VT・VFから蘇生した人はICD(ICDの節)
特発性VTβ遮断薬・Ca拮抗薬(ベラパミル)・Ⅰ群抗不整脈薬。根治はカテーテルアブレーション
  • VTを見たら原因を探す:心エコー・冠動脈造影(心筋梗塞・心筋症)、電解質(K・Mg)、飲んでいる薬。
  • 心臓突然死の原因で最も多いのは虚血性心疾患(急性心筋梗塞の直後のVFは、急性冠症候群で)。ほかに、QT延長・Brugada症候群・心筋症、胸にボールが当たった直後(心臓振盪、くわしくは胸部外傷で)。

画像で出たら VTは、幅の広いQRSが同じ形のまま速く規則的に並ぶ。VFは、形も間隔もばらばらの波で、QRSが見分けられない。

QT延長とtorsade de pointes

QT間隔が長いと、torsade de pointes(TdP:多形性心室頻拍)が起こる。QRSの向きと高さが、ねじれるように変わりながら続く。数秒で自然に止まって失神をくり返し、止まらなければ心室細動になる。

QTを延ばすもの

薬抗うつ薬(三環系・四環系)・マクロライド系・ニューキノロン系抗菌薬・抗精神病薬・抗不整脈薬(Ⅰa群・Ⅲ群)
電解質低K血症(サイアザイド系・ループ利尿薬、甘草(偽アルドステロン症)、下剤)・低Mg血症・低Ca血症
生まれつき先天性QT延長症候群。若い人の失神と、若くして突然死した血縁者。運動・水泳の時や、驚いた時に起こりやすい

治療

発作のとき硫酸マグネシウムの静注(血清Mgが正常でも効く)。Kを補い、QTを延ばす薬をやめる。モニターを続け、心室細動になれば電気ショック
使わないループ利尿薬(K・Mgがさらに減る)。QTを延ばす薬
先天性の発作の予防β遮断薬が基本(交感神経の興奮が発作のきっかけ)。心停止から蘇生した人、β遮断薬でも失神する人はICD
  • 多形性心室頻拍で失神をくり返す人は、まず血清Kを測る(脳波・頭部CTより先)。

画像で出たら 発作のない時の12誘導心電図で、QTが長い(低K血症ではU波も目立つ)。発作時のモニターでは、幅の広いQRSが向きを変えながら、紡錘形にうねって続く。

Brugada症候群

心筋のNaチャネルの働きが弱い、遺伝性の病気(多くは常染色体顕性遺伝)。若い〜中年の男性が、前ぶれなく失神や心室細動(突然死)を起こす。夜間・睡眠中に多く、発熱で起こりやすくなる。

心電図V1〜V2(V3)で、右脚ブロックに似たST上昇(coved型)
突然死の危険が高い心室細動の既往・原因の分からない失神・若くして突然死した血縁者
治療心室細動・失神のあった人はICD。症状がなく心電図だけの人は、多くは経過観察
悪くするものNaチャネル遮断薬(Ⅰ群抗不整脈薬)はST上昇を強め、心室細動を起こす(治療には使わず、診断の負荷試験に使う)。熱が出たら早めに解熱する

画像で出たら V1・V2で、QRSの終わりからSTが高く盛り上がり、なだらかに下がって陰性T波へ続く(coved型)。発作の時のモニターは心室細動。

植込み型除細動器(ICD)

心室頻拍・心室細動を自動で見つけ、電気ショックで止める。防ぐのは心室性の不整脈による突然死で、徐脈や上室性の不整脈の治療ではない。

適応になる

心停止から蘇生心室細動・持続性心室頻拍から蘇生した人(再発の予防)
器質的心疾患失神を伴う持続性心室頻拍。心筋梗塞の後などで心機能が強く落ちた人(左室駆出率35%以下で心不全がある)は、まだ起こっていなくても考える。肥大型心筋症で突然死の危険が高い人(くわしくは心筋症で)
遺伝性の不整脈Brugada症候群・先天性QT延長症候群で、心室細動・失神のあった人

適応にならない

徐脈完全房室ブロック・洞不全症候群の失神は、ペースメーカー
上室性の頻拍心房細動・心房粗動・発作性上室頻拍は対象外。根治はカテーテルアブレーション

似た病気との見分け

幅の広いQRSが続くとき

WPW症候群の心房細動幅の広いQRSが不規則に速い。発作のない時にデルタ波(副伝導路=Kent束)。ショックならすぐ電気的除細動(くわしくは心房細動で)
ペースメーカーの心室ペーシング鋭いスパイクの直後に、幅の広いQRSが続く。ペースメーカーに設定した心拍数で規則正しい

心停止の心電図のとき

無脈性電気活動(PEA)波形はあるのに脈が触れない。電気ショックは効かず、胸骨圧迫とアドレナリン(くわしくは心肺蘇生で)
心静止平らな線。電気ショックは効かず、胸骨圧迫とアドレナリン

突然死の家族歴がある人の失神のとき

肥大型心筋症運動中の失神。収縮期駆出性雑音、心エコーで非対称性中隔肥厚(くわしくは心筋症で)
血管迷走神経反射長い立位・痛み・恐怖のあと。悪心・冷汗などの前ぶれがあり、横になるとすぐ戻る。前ぶれなく座ったまま倒れたら、不整脈を考える
てんかんけいれんと、発作のあとのもうろう状態

合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。

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一問一答

  1. Q1

    心電図で、P波を伴わない幅の広いQRSが、早いタイミングで1つだけ出る。読みは?★★★必修

    心室期外収縮

    あとに長めの休み(代償性休止)が入り、「脈が飛ぶ」と感じる。症状のないことも多い。

    106H24114B36

  2. Q2

    健診で見つかった心室期外収縮。症状がなく、心エコーで心疾患がなく、連発もない。方針は?★★★必修

    経過観察

    薬・アブレーション・ICDは要らない。くわしく調べるのは、連発する・運動で増える・症状が強い・心機能が落ちているとき。

    106H24114B36

  3. Q3

    幅の広いQRSが同じ形のまま、規則的に速く続く。考える不整脈は?★★★

    心室頻拍

    陳旧性心筋梗塞・心筋症などの器質的心疾患に多い。失神・ショックになりやすく、心室細動に移ることもある。

    105I61116D18

  4. Q4

    脈の触れる心室頻拍で、収縮期血圧が70 mmHg台に下がった。直ちに行う治療は?★★★

    電気ショック(QRSに同期させる=カルディオバージョン)

    薬の効果を待たない。脈が触れなければ、心室細動と同じく同期させずにすぐ電気ショック。

    116D18

  5. Q5

    QT延長のある人で、注意する不整脈は?★★★

    torsade de pointes(多形性心室頻拍)

    QRSの向きと高さが、ねじれるように変わる。数秒で自然に止まって失神をくり返し、止まらなければ心室細動になる。

    110A10104A27111I69113D34117A71

  6. Q6

    QT延長を起こす薬は?(抗菌薬2系統と、抗うつ薬)★★★

    マクロライド系・ニューキノロン系・三環系(四環系)抗うつ薬

    抗精神病薬や、Ⅰa群・Ⅲ群の抗不整脈薬も。低K血症や、ほかのQTを延ばす薬と重なると起こりやすい。

    110E34113D34111I69

  7. Q7

    サイアザイド系利尿薬・甘草を含む漢方薬・刺激性下剤を飲む高齢者。多形性心室頻拍で数秒の失神をくり返す。まず調べるのは?★★★

    血清カリウム(低K血症)

    利尿薬・甘草(偽アルドステロン症)・下剤でKが失われ、QTが延びる。脳波・頭部CTより先に電解質を見る。

    111I69113D34113D66

  8. Q8

    torsade de pointesをくり返す。まず静注する薬は?★★★

    硫酸マグネシウム

    血清Mgが正常でも効く。あわせてKを補い、QTを延ばす薬をやめ、モニターを続ける。

    113D34117A71

  9. Q9

    若い人の失神。以前から心電図でQT延長を言われ、血縁者に若くして突然死した人がいる。考える病気は?★★★

    先天性QT延長症候群

    運動・水泳の時や、驚いた時の失神が多い。発作時の心電図はtorsade de pointes。

    117A71104A27

  10. Q10

    先天性QT延長症候群で、発作を防ぐ基本の薬は?★★★

    β遮断薬

    交感神経の興奮が発作のきっかけになる。心停止から蘇生した人や、β遮断薬でも失神する人はICD。

    117A71107E34

  11. Q11

    若い〜中年の男性が、前ぶれなく失神・心停止。心電図のV1・V2でcoved型のST上昇。考える病気は?★★★必修

    Brugada症候群(失神・心停止は心室細動による)

    夜間・睡眠中に多い。STが盛り上がってなだらかに下がり、陰性T波へ続く。右脚ブロックに似た形。

    114E38115A69102A58103A20

  12. Q12

    Brugada症候群で、心室細動を起こしやすくするきっかけは?★★★必修

    発熱

    熱でNaチャネルの働きがさらに落ち、ST上昇が強まる。熱が出たら早めに解熱する。

    115A69117B20

  13. Q13

    Brugada症候群で、突然死の危険が高いことを示す病歴は?(心室細動の既往のほかに2つ)★★★

    原因の分からない失神・若くして突然死した血縁者

    失神は、心室細動が自然に止まって起きた可能性がある。喫煙・糖尿病(動脈硬化の危険因子)は関係しない。

    119A13103A20

  14. Q14

    心室細動から蘇生した、または失神をくり返すBrugada症候群。突然死を防ぐ治療は?★★★

    植込み型除細動器(ICD)

    β遮断薬・ベラパミル・ペースメーカーでは防げない。

    115A69102A58103A20107E34104D17

  15. Q15

    ICDの適応になる不整脈は?(2つ)★★★

    心室細動・持続性心室頻拍(器質的心疾患によるもので、失神を伴う)

    心室細動・心停止から蘇生した人は、再発の予防に入れる。心機能が強く落ちた人では、起こる前に入れることもある。

    111I27115C32104D17105I61

  16. Q16

    心疾患のない人の心室頻拍(特発性心室頻拍)。再発予防に使う薬は?(3種類)★★★

    β遮断薬・Ca拮抗薬(ベラパミル・ジルチアゼム)・Ⅰ群抗不整脈薬

    根治はカテーテルアブレーション。α遮断薬には不整脈を抑える働きはない。

    116D18

選択肢の○×

期外収縮

  1. 1

    運動で消える単発の心室期外収縮の中学生には、体育の実技を見学させる。114B36

VT・VF

  1. 2

    左室駆出率の低い陳旧性心筋梗塞の人の心室頻拍に、強心薬を使う。105I61

QT延長

  1. 3

    低K血症によるtorsade de pointesに、ループ利尿薬を使う。113D34117A71

Brugada

  1. 4

    Brugada症候群で心室細動を防ぐため、Naチャネル遮断薬(Ⅰ群抗不整脈薬)を飲む。禁忌115A69103A20

ICD

  1. 5

    薬が効かない心房細動・心房粗動・発作性上室頻拍に、ICDを植え込む。111I27115C32

Brugada

  1. 6

    Brugada症候群は、X連鎖潜性遺伝をする。115A69