心室性不整脈
期外収縮から、心室頻拍・細動、QT延長、Brugada症候群とICDまで
19問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 脈が触れない心室細動・心室頻拍は、すぐ胸骨圧迫と電気ショック。脈があっても血圧が下がれば、同期させて電気ショック。心室細動から蘇生した人、器質的心疾患の持続性心室頻拍で失神した人はICD。
- QT延長からtorsade de pointes(多形性心室頻拍)が起こり、失神をくり返す。低K血症とQTを延ばす薬を探し、マグネシウム静注・Kの補正・原因の薬の中止。
- 男性の突然の失神・心室細動に、V1・V2のcoved型ST上昇ならBrugada症候群で、ICDの適応。症状のない単発の心室期外収縮は経過観察。
心室期外収縮:様子を見てよいもの
心室から早いタイミングで出る1拍。心電図では、P波を伴わない幅の広いQRSが早く出て、あとに長めの休み(代償性休止)が入る。「脈が飛ぶ」感じがするが、症状のないことも多い。健康な人にもよく見られる。
| 経過観察でよい | 症状がなく、心エコーで器質的心疾患がない。Holter心電図で連発がない、運動で減る・消える。運動の制限も要らない |
|---|---|
| くわしく調べる | 連発する、形が何種類もある、運動で増える、症状が強い、心機能が落ちている。心エコー・Holter心電図で、器質的心疾患と心室頻拍を探す |
| 治療するとき | 症状が強いとき、数が多くて心機能が落ちるときに、β遮断薬やカテーテルアブレーション |
画像で出たら 洞調律の間に、P波のない幅の広いQRSがときどき早く割り込む。Holter心電図では、1日の数と連発の有無を見る。
心室頻拍と心室細動
心室期外収縮が3つ以上続くものが心室頻拍(VT)で、幅の広いQRSが同じ形で規則的に速く続く。30秒以上続くものを持続性という。多くは器質的心疾患(陳旧性心筋梗塞・心筋症・心サルコイドーシスなど)から起こる。心疾患のないもの(特発性)もある。心室がばらばらに震えて血を送れなくなるのが心室細動(VF)で、数分で死に至る(心臓突然死)。
すぐ行うこと
| 脈が触れない(VF・無脈性VT) | 心停止。すぐ胸骨圧迫と電気ショック(QRSに同期させない)。止まらなければ電気ショックをくり返し、アドレナリン・アミオダロンも(くわしくは心肺蘇生で) |
|---|---|
| 脈はあるが、血圧低下・意識障害 | すぐ電気ショック(QRSに同期させる=カルディオバージョン) |
| 血行動態が落ち着いている | 抗不整脈薬の静注(アミオダロンなど)。心機能が落ちていても、強心薬は使わない(不整脈を増やす) |
再発を防ぐ
| 器質的心疾患のVT | 元の病気の治療と、β遮断薬・アミオダロン。失神を伴う持続性VT・VFから蘇生した人はICD(ICDの節) |
|---|---|
| 特発性VT | β遮断薬・Ca拮抗薬(ベラパミル)・Ⅰ群抗不整脈薬。根治はカテーテルアブレーション |
- VTを見たら原因を探す:心エコー・冠動脈造影(心筋梗塞・心筋症)、電解質(K・Mg)、飲んでいる薬。
- 心臓突然死の原因で最も多いのは虚血性心疾患(急性心筋梗塞の直後のVFは、急性冠症候群で)。ほかに、QT延長・Brugada症候群・心筋症、胸にボールが当たった直後(心臓振盪、くわしくは胸部外傷で)。
画像で出たら VTは、幅の広いQRSが同じ形のまま速く規則的に並ぶ。VFは、形も間隔もばらばらの波で、QRSが見分けられない。
QT延長とtorsade de pointes
QT間隔が長いと、torsade de pointes(TdP:多形性心室頻拍)が起こる。QRSの向きと高さが、ねじれるように変わりながら続く。数秒で自然に止まって失神をくり返し、止まらなければ心室細動になる。
QTを延ばすもの
| 薬 | 抗うつ薬(三環系・四環系)・マクロライド系・ニューキノロン系抗菌薬・抗精神病薬・抗不整脈薬(Ⅰa群・Ⅲ群) |
|---|---|
| 電解質 | 低K血症(サイアザイド系・ループ利尿薬、甘草(偽アルドステロン症)、下剤)・低Mg血症・低Ca血症 |
| 生まれつき | 先天性QT延長症候群。若い人の失神と、若くして突然死した血縁者。運動・水泳の時や、驚いた時に起こりやすい |
治療
| 発作のとき | 硫酸マグネシウムの静注(血清Mgが正常でも効く)。Kを補い、QTを延ばす薬をやめる。モニターを続け、心室細動になれば電気ショック |
|---|---|
| 使わない | ループ利尿薬(K・Mgがさらに減る)。QTを延ばす薬 |
| 先天性の発作の予防 | β遮断薬が基本(交感神経の興奮が発作のきっかけ)。心停止から蘇生した人、β遮断薬でも失神する人はICD |
- 多形性心室頻拍で失神をくり返す人は、まず血清Kを測る(脳波・頭部CTより先)。
画像で出たら 発作のない時の12誘導心電図で、QTが長い(低K血症ではU波も目立つ)。発作時のモニターでは、幅の広いQRSが向きを変えながら、紡錘形にうねって続く。
Brugada症候群
心筋のNaチャネルの働きが弱い、遺伝性の病気(多くは常染色体顕性遺伝)。若い〜中年の男性が、前ぶれなく失神や心室細動(突然死)を起こす。夜間・睡眠中に多く、発熱で起こりやすくなる。
| 心電図 | V1〜V2(V3)で、右脚ブロックに似たST上昇(coved型) |
|---|---|
| 突然死の危険が高い | 心室細動の既往・原因の分からない失神・若くして突然死した血縁者 |
| 治療 | 心室細動・失神のあった人はICD。症状がなく心電図だけの人は、多くは経過観察 |
| 悪くするもの | Naチャネル遮断薬(Ⅰ群抗不整脈薬)はST上昇を強め、心室細動を起こす(治療には使わず、診断の負荷試験に使う)。熱が出たら早めに解熱する |
画像で出たら V1・V2で、QRSの終わりからSTが高く盛り上がり、なだらかに下がって陰性T波へ続く(coved型)。発作の時のモニターは心室細動。
植込み型除細動器(ICD)
心室頻拍・心室細動を自動で見つけ、電気ショックで止める。防ぐのは心室性の不整脈による突然死で、徐脈や上室性の不整脈の治療ではない。
適応になる
| 心停止から蘇生 | 心室細動・持続性心室頻拍から蘇生した人(再発の予防) |
|---|---|
| 器質的心疾患 | 失神を伴う持続性心室頻拍。心筋梗塞の後などで心機能が強く落ちた人(左室駆出率35%以下で心不全がある)は、まだ起こっていなくても考える。肥大型心筋症で突然死の危険が高い人(くわしくは心筋症で) |
| 遺伝性の不整脈 | Brugada症候群・先天性QT延長症候群で、心室細動・失神のあった人 |
適応にならない
| 徐脈 | 完全房室ブロック・洞不全症候群の失神は、ペースメーカー |
|---|---|
| 上室性の頻拍 | 心房細動・心房粗動・発作性上室頻拍は対象外。根治はカテーテルアブレーション |
似た病気との見分け
幅の広いQRSが続くとき
| WPW症候群の心房細動 | 幅の広いQRSが不規則に速い。発作のない時にデルタ波(副伝導路=Kent束)。ショックならすぐ電気的除細動(くわしくは心房細動で) |
|---|---|
| ペースメーカーの心室ペーシング | 鋭いスパイクの直後に、幅の広いQRSが続く。ペースメーカーに設定した心拍数で規則正しい |
心停止の心電図のとき
| 無脈性電気活動(PEA) | 波形はあるのに脈が触れない。電気ショックは効かず、胸骨圧迫とアドレナリン(くわしくは心肺蘇生で) |
|---|---|
| 心静止 | 平らな線。電気ショックは効かず、胸骨圧迫とアドレナリン |
突然死の家族歴がある人の失神のとき
| 肥大型心筋症 | 運動中の失神。収縮期駆出性雑音、心エコーで非対称性中隔肥厚(くわしくは心筋症で) |
|---|---|
| 血管迷走神経反射 | 長い立位・痛み・恐怖のあと。悪心・冷汗などの前ぶれがあり、横になるとすぐ戻る。前ぶれなく座ったまま倒れたら、不整脈を考える |
| てんかん | けいれんと、発作のあとのもうろう状態 |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
表示の設定
まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
心電図で、P波を伴わない幅の広いQRSが、早いタイミングで1つだけ出る。読みは?★★★必修
心室期外収縮
あとに長めの休み(代償性休止)が入り、「脈が飛ぶ」と感じる。症状のないことも多い。
- Q2
健診で見つかった心室期外収縮。症状がなく、心エコーで心疾患がなく、連発もない。方針は?★★★必修
経過観察
薬・アブレーション・ICDは要らない。くわしく調べるのは、連発する・運動で増える・症状が強い・心機能が落ちているとき。
- Q3
幅の広いQRSが同じ形のまま、規則的に速く続く。考える不整脈は?★★★
心室頻拍
陳旧性心筋梗塞・心筋症などの器質的心疾患に多い。失神・ショックになりやすく、心室細動に移ることもある。
- Q4
脈の触れる心室頻拍で、収縮期血圧が70 mmHg台に下がった。直ちに行う治療は?★★★
電気ショック(QRSに同期させる=カルディオバージョン)
薬の効果を待たない。脈が触れなければ、心室細動と同じく同期させずにすぐ電気ショック。
- Q5
QT延長のある人で、注意する不整脈は?★★★
torsade de pointes(多形性心室頻拍)
QRSの向きと高さが、ねじれるように変わる。数秒で自然に止まって失神をくり返し、止まらなければ心室細動になる。
- Q6
QT延長を起こす薬は?(抗菌薬2系統と、抗うつ薬)★★★
マクロライド系・ニューキノロン系・三環系(四環系)抗うつ薬
抗精神病薬や、Ⅰa群・Ⅲ群の抗不整脈薬も。低K血症や、ほかのQTを延ばす薬と重なると起こりやすい。
- Q7
サイアザイド系利尿薬・甘草を含む漢方薬・刺激性下剤を飲む高齢者。多形性心室頻拍で数秒の失神をくり返す。まず調べるのは?★★★
血清カリウム(低K血症)
利尿薬・甘草(偽アルドステロン症)・下剤でKが失われ、QTが延びる。脳波・頭部CTより先に電解質を見る。
- Q8
torsade de pointesをくり返す。まず静注する薬は?★★★
硫酸マグネシウム
血清Mgが正常でも効く。あわせてKを補い、QTを延ばす薬をやめ、モニターを続ける。
- Q9
若い人の失神。以前から心電図でQT延長を言われ、血縁者に若くして突然死した人がいる。考える病気は?★★★
先天性QT延長症候群
運動・水泳の時や、驚いた時の失神が多い。発作時の心電図はtorsade de pointes。
- Q10
先天性QT延長症候群で、発作を防ぐ基本の薬は?★★★
β遮断薬
交感神経の興奮が発作のきっかけになる。心停止から蘇生した人や、β遮断薬でも失神する人はICD。
- Q11
若い〜中年の男性が、前ぶれなく失神・心停止。心電図のV1・V2でcoved型のST上昇。考える病気は?★★★必修
Brugada症候群(失神・心停止は心室細動による)
夜間・睡眠中に多い。STが盛り上がってなだらかに下がり、陰性T波へ続く。右脚ブロックに似た形。
- Q12
Brugada症候群で、心室細動を起こしやすくするきっかけは?★★★必修
発熱
熱でNaチャネルの働きがさらに落ち、ST上昇が強まる。熱が出たら早めに解熱する。
- Q13
Brugada症候群で、突然死の危険が高いことを示す病歴は?(心室細動の既往のほかに2つ)★★★
原因の分からない失神・若くして突然死した血縁者
失神は、心室細動が自然に止まって起きた可能性がある。喫煙・糖尿病(動脈硬化の危険因子)は関係しない。
- Q14
心室細動から蘇生した、または失神をくり返すBrugada症候群。突然死を防ぐ治療は?★★★
植込み型除細動器(ICD)
β遮断薬・ベラパミル・ペースメーカーでは防げない。
- Q15
ICDの適応になる不整脈は?(2つ)★★★
心室細動・持続性心室頻拍(器質的心疾患によるもので、失神を伴う)
心室細動・心停止から蘇生した人は、再発の予防に入れる。心機能が強く落ちた人では、起こる前に入れることもある。
- Q16
心疾患のない人の心室頻拍(特発性心室頻拍)。再発予防に使う薬は?(3種類)★★★
β遮断薬・Ca拮抗薬(ベラパミル・ジルチアゼム)・Ⅰ群抗不整脈薬
根治はカテーテルアブレーション。α遮断薬には不整脈を抑える働きはない。
選択肢の○×
期外収縮
- 1
運動で消える単発の心室期外収縮の中学生には、体育の実技を見学させる。114B36
心疾患がなく連発もなければ良性で、運動を制限しない。制限を考えるのは、連発する・運動で増える・心疾患があるとき。
VT・VF
- 2
左室駆出率の低い陳旧性心筋梗塞の人の心室頻拍に、強心薬を使う。105I61
強心薬は心筋の興奮を高め、不整脈を悪くする。抗不整脈薬(アミオダロンなど)を使い、血圧が下がれば電気ショック。β遮断薬とICDも考える。
Brugada
Brugada
- 6
Brugada症候群は、X連鎖潜性遺伝をする。115A69
多くは常染色体顕性遺伝(Naチャネルの遺伝子SCN5Aなど)。男性に多いが、X連鎖ではない。