出る順18

徐脈性不整脈

めまい・失神の徐脈から、心電図の読み方とペースメーカーまで

20問
第101〜120回

マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題

まずこれだけ

  1. 失神(Adams-Stokes発作)・めまいをくり返したら徐脈を疑い、心電図でP波とQRSの関係を見る。P波もQRSも数秒止まるのは洞停止、P波とQRSが互いに関係なく出るのは完全房室ブロック。
  2. まず原因の薬(β遮断薬・抗不整脈薬など)をやめる。失神するほどの徐脈にはアトロピン静注、効かなければ一時的ペーシング。
  3. 薬などの原因がない、症状のある徐脈は恒久的ペースメーカー(ICDではない)。症状のないWenckebach型は経過観察。

徐脈とは:伝わる道と症状

心臓の電気は、右房の洞結節で生まれ、房室結節→His束→右脚・左脚を通って心室に伝わる。洞結節が止まる・遅くなるのが洞不全症候群、房室結節から下で伝わらなくなるのが房室ブロック。心拍数がおおむね50/分未満を徐脈という。

症状めまい・眼前暗黒感・失神、だるさ。遅い脈が続くと、労作時の息切れ・下腿浮腫・心拡大(心不全)
Adams-Stokes発作心拍が数秒止まって脳の血流が途絶え、前ぶれなく突然倒れる。多くは数秒〜十数秒で元に戻る。座っていても寝ていても起こる
  • 脚ブロックだけでは脈は遅くならない。失神を起こすのは完全房室ブロック・高度房室ブロックと洞停止。

房室ブロック:P波とQRSの関係で分ける

P波(心房の興奮)とQRS(心室の興奮)を1対1で対応させ、PQ時間の延び方とQRSの抜け方を見る。Ⅱ度は、P波は規則正しく出るのに、ときどきQRSが続かないもの。

Ⅰ度PQ時間が0.20秒を超えて延びるだけで、QRSは抜けない。それだけなら治療は要らない
Ⅱ度 Wenckebach型(MobitzⅠ型)PQ時間が1拍ごとに延び、やがてQRSが1つ抜ける。房室結節での障害で、若い人・運動選手・睡眠中にも見られる。症状がなければ経過観察
Ⅱ度 MobitzⅡ型PQ時間は一定のまま、突然QRSが抜ける。房室結節より下の障害で、完全房室ブロックに進みやすい。2拍以上続けて抜けるものは高度房室ブロック
Ⅲ度(完全)心房の興奮がまったく伝わらない。P波とQRSがそれぞれ一定の間隔で、互いに関係なく出る(房室解離)。心室は下の補充調律で、遅く規則的に打つ(40/分前後)
  • 完全房室ブロックの聴診:Ⅰ音の強さが拍ごとに変わり、ときに大きく響く(大砲音)。心房と心室がばらばらに縮むため。
  • 失神(Adams-Stokes発作)・心不全を起こすのは、おもに完全房室ブロックと高度房室ブロック。

画像で出たら まずP波を全部探す(T波に重なって隠れることもある)。Ⅰ度はPQ時間が大きいマス1つ(0.20秒)より長い。Wenckebach型はPQ時間が少しずつ延びて抜ける。2:1では、QRSとQRSの間にP波が2つ。完全房室ブロックでは、P波とQRSがそれぞれ等間隔に並び、PQ時間がばらばら。

洞不全症候群:洞結節が止まる・遅れる

洞結節の働きが落ちて、脈が遅くなる・止まる。高齢者に多い。3つの型に分ける。

Ⅰ型:洞性徐脈P波とQRSは1対1で形も正常なまま、心拍数が遅い(50/分未満)。薬・甲状腺機能低下症など、ほかの原因がないもの
Ⅱ型:洞停止・洞房ブロックP波もQRSも突然出なくなり、平らな線が数秒続く。休みの長さがPP間隔のちょうど整数倍なら洞房ブロック
Ⅲ型:徐脈頻脈症候群発作性心房細動(心房粗動)が止まった直後に、長い洞停止。頻脈の間に抑えられた洞結節が、すぐには動き出さない
  • 徐脈頻脈症候群で、頻脈を抑える薬(β遮断薬・Ca拮抗薬・抗不整脈薬)は停止を長くする。始めた後に悪くなったら、まず中止。
  • 治療:症状のある停止にはペースメーカー。心房細動そのものをカテーテルアブレーションで治せば、停止も起こらなくなる。

画像で出たら Holter心電図で、不規則に細かく揺れる基線(心房細動)や速い頻拍が急に止まり、数秒の平らな線のあと、P波のある洞調律が戻る。

原因:まず薬を確かめる

徐脈を見たら、治せる原因(とくに薬)を先に探す。

薬β遮断薬・Ca拮抗薬(ベラパミル・ジルチアゼム)・ジギタリス・抗不整脈薬。まず原因の薬をやめる。施設に入って飲み忘れがなくなり、急に効きすぎることもある
心臓の病気加齢による刺激伝導系の変性が多い。下壁の急性心筋梗塞(右冠動脈が房室結節を養う。くわしくは急性冠症候群で)、心サルコイドーシス(心室中隔の基部が薄くなる)、急性心筋炎(かぜの数日後に)
迷走神経が強い若い人・運動選手・睡眠中には、洞性徐脈やWenckebach型が病気でなく見られる
  • 薬をやめても、効果が切れるまでに失神をくり返すなら一時的ペーシングで支える。やめても徐脈が続くときに、恒久的ペースメーカー。
  • 腎機能の落ちた高齢者は、ジゴキシンがたまって徐脈になりやすい(腎臓から出る薬)。

治療:急ぐとき

  1. ① アトロピン静注失神・血圧低下のある徐脈に
  2. ② 一時的ペーシング効かない・くり返す
  3. ③ 原因を除く薬・高K血症・心筋梗塞
  4. ④ 恒久的ペースメーカー原因がなく続く徐脈
  • 失神・血圧低下など症状のある徐脈には、まずアトロピン静注。迷走神経を抑えて心拍数を上げる。房室結節より下のブロック(幅の広いQRSの補充調律)には効きにくい。
  • 一時的ペーシング:すぐ始められるのは、胸に貼ったパッドから刺激する経皮ペーシング。続いて、静脈から右室にリードを入れる経静脈ペーシング。アドレナリン・ドパミンの点滴も、ペーシングまでのつなぎに使う。
  • アトロピン・イソプロテレノールは一時しのぎ。くり返す徐脈を、薬で抑え続けることはしない。
  • リドカインは使わない(心拍を支えている心室の補充調律まで抑える)。ベラパミルは房室伝導を悪くする。

恒久的ペースメーカー

本体を鎖骨の下の皮下に植え込み、静脈から入れたリードで右房・右室を刺激する。自分の脈が設定(例えば60/分)より遅くなると、電気を出して心臓を動かす。

植え込む症状(めまい・失神・心不全)のある徐脈で、原因になる薬などがないもの。洞不全症候群・Ⅱ度/Ⅲ度房室ブロック・徐脈頻脈症候群。MobitzⅡ型・完全房室ブロックは、症状がなくても考える
植え込まない症状のないⅠ度・Wenckebach型。薬が原因の徐脈(まず中止)。ICD(植込み型除細動器)は徐脈に使うものではない(心室頻拍・心室細動に)
心電図鋭いスパイクの直後に幅の広いQRS=心室ペーシング(右室から刺激するので、左脚ブロックに似た形)。心房ペーシングでは、スパイクのあとにP波。心房細動の心房はペーシングできない
検査・生活MRIは、条件付きMRI対応の機種か確かめてから(撮る前後に設定を変える)。CT・PET・超音波検査では、この確認は要らない。電気メス・低周波治療器など、体に電気を流すものや強い電磁波で誤作動しうる

画像で出たら QRSの直前に細く鋭い縦線(ペーシングスパイク)があり、幅の広いQRSが設定の間隔(60/分なら大きいマス5つおき)で規則正しく並ぶ。心室期外収縮・心室頻拍と読みまちがえない。

似た病気との見分け

失神をくり返すが、ペースメーカーでは防げないもの

心室頻拍・心室細動幅の広いQRSの速い頻拍。植込み型除細動器(ICD)(くわしくは心室性不整脈で)
大動脈弁狭窄症運動中の失神・胸痛、駆出性収縮期雑音。弁置換
反射性失神長い立位・痛み・排尿などのきっかけと、冷汗などの前ぶれ。徐脈も起こるが、横になればすぐ戻る
てんかん舌の側面をかむ・失禁。発作のあと、しばらくもうろうとする。脳波

脈が遅いとき、心臓の外の原因

高K血症腎不全やKを上げる薬。T波が高く尖り、QRSの幅が広がる。放っておくと心停止
甲状腺機能低下症寒がり・むくみ・便秘・体重増加。TSH↑・FT4↓
有機リン中毒縮瞳・流涎・発汗、コリンエステラーゼの低下。アトロピンとPAM
神経性やせ症低体重・無月経に、徐脈・低体温・低血圧

合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。

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一問一答

  1. Q1

    房室ブロックや洞停止で心拍が数秒止まり、脳の血流が途絶えて意識を失う発作を何という?★★★必修

    Adams-Stokes発作

    前ぶれなく突然倒れ、数秒〜十数秒で戻る。座っていても寝ていても起こる。くり返すなら、ペースメーカーが要る徐脈を考える。

    116E21105H09106I50119C61102A59

  2. Q2

    PQ時間が0.20秒を超えて延びるが、QRSは1拍も抜けない。心電図の所見は?★★★必修

    Ⅰ度房室ブロック

    心電図の大きいマス1つ(0.20秒)より長い。ふつう症状はなく、それだけなら治療は要らない。

    110F07110D54

  3. Q3

    PQ時間が1拍ごとに少しずつ延び、やがてQRSが1つ抜ける。心電図の所見は?★★★必修

    Wenckebach型Ⅱ度房室ブロック(MobitzⅠ型)

    房室結節での障害で、迷走神経の強い若い人や、睡眠中にも見られる。抜けた後のPQ時間は短く戻る。

    101A18105H09

  4. Q4

    P波のあとのQRSが、ときどき抜ける(2:1で抜けるなど)。房室ブロックの程度は?★★★必修

    Ⅱ度房室ブロック

    伝わる拍では、P波とQRSが対応している。2拍以上続けて抜けるものは高度房室ブロック。P波とQRSがまったく関係なく出るなら完全(Ⅲ度)。

    108I20117E07110D54

  5. Q5

    P波とQRSがそれぞれ一定の間隔で、互いに関係なく出る。QRSは遅く規則的。心電図の所見は?★★★必修

    完全(Ⅲ度)房室ブロック

    心房の興奮がまったく心室へ伝わらず、心室は下の補充調律で打つ(房室解離)。失神(Adams-Stokes発作)や心不全を起こす。

    109A32115B36105H09

  6. Q6

    完全房室ブロックの聴診で、特徴的な所見は?★★★必修

    Ⅰ音の強さが拍ごとに変わり、ときに大きく響く(大砲音)

    心房と心室がばらばらに縮み、房室弁が大きく開いた所で心室が縮むと、Ⅰ音が大きくなる。Ⅱ音の亢進は肺高血圧、Ⅲ音は心不全の所見。

    115B36109A32

  7. Q7

    P波もQRSも突然出なくなり、平らな線が数秒続いた。その時に眼前暗黒感・失神。心電図の所見は?★★★

    洞停止(洞不全症候群)

    洞結節が電気を出さない。休みの長さがPP間隔のちょうど整数倍なら洞房ブロックで、これも洞不全症候群に入る。

    102A59106I50119C61105A50113A34

  8. Q8

    発作性心房細動(心房粗動)が止まった直後に、数秒の洞停止が起こる。病名は?★★★

    徐脈頻脈症候群(洞不全症候群のⅢ型)

    頻脈の間に抑えられた洞結節が、すぐに動き出さない。β遮断薬・Ca拮抗薬・抗不整脈薬で頻脈を抑えると、停止は長くなる。症状のある停止にはペースメーカー、心房細動にはカテーテルアブレーション。

    120A73105A50113A34

  9. Q9

    降圧薬を飲む高齢者が、脈拍36/分でふらつく。飲んでいる薬で、まず原因に考えるのは?★★★

    β遮断薬

    洞結節と房室結節の働きを抑える。ベラパミル・ジルチアゼム(Ca拮抗薬)、ジギタリス、抗不整脈薬も徐脈を起こす。利尿薬・ACE阻害薬・抗血小板薬・SU薬は、洞結節・房室結節を直接は抑えない。

    107E59110D54

  10. Q10

    薬で起きた、症状のある徐脈(洞停止・房室ブロック)。まずすることは?★★★

    原因の薬をやめる

    効果が切れるまでに失神をくり返すなら、一時的ペーシングで支える。やめても徐脈が続くときに、恒久的ペースメーカーを考える。腎機能の落ちた高齢者では、ジゴキシンがたまって徐脈になりやすい。

    110D54113A34105A50111G64

  11. Q11

    完全房室ブロックを合併しやすい病気は?(2つ)★★★

    下壁の急性心筋梗塞・心サルコイドーシス

    下壁梗塞では、多くの人で房室結節を養う右冠動脈が詰まる(ブロックは一時的なことが多い)。心サルコイドーシスは肉芽腫が刺激伝導系を壊す。中年の房室ブロックでは、心エコーで心室中隔の基部が薄くないか見る。

    112F40115D09

  12. Q12

    失神した患者のモニターで、高度の房室ブロック。直ちに静注する薬は?★★★必修

    アトロピン

    迷走神経を抑えて、洞結節と房室結節の働きを高める。効かなければ経皮ペーシング(アドレナリン・ドパミンの点滴も)。アドレナリンの1回静注は、心停止の時の使い方。

    117E07

  13. Q13

    高度の徐脈で、意識消失をくり返している。すぐに心拍を保つ治療は?★★★

    一時的ペーシング(まず経皮、続いて経静脈)

    胸に貼ったパッドから刺激する経皮ペーシングは、すぐ始められる。続いて静脈から右室にリードを入れる。原因を確かめ、続く徐脈なら恒久的ペースメーカーへ。

    119C61105A50

  14. Q14

    原因になる薬がないのに、洞停止や房室ブロックによる失神をくり返す。治療は?★★★

    恒久的ペースメーカー植込み

    めまい・失神・心不全など、症状のある徐脈が適応。完全房室ブロックやMobitzⅡ型は、症状がなくても考える。

    102A59106I50120A73

  15. Q15

    ペースメーカーを植え込んだ人の心電図。鋭いスパイクの直後に、幅の広いQRSが規則正しく続く。所見は?★★★必修

    心室ペーシング

    右室の中から刺激するので、左脚ブロックに似た形になる。心房ペーシングなら、スパイクのあとにP波が続く。心室期外収縮・心室頻拍と読みまちがえない。

    115E43117A27

  16. Q16

    ペースメーカーを植え込んだ人に、機種を確かめてから行う検査は?★★★必修

    MRI(MRCPなども)

    強い磁場で誤作動や発熱が起こりうる。条件付きMRI対応の機種なら、前後で設定を変えて撮れる(以前は撮れないとされた)。CT・PET・超音波検査では、この確認は要らない。

    115E16104E66

  17. Q17

    P波とQRSが1対1で形も正常なまま、心拍数が36/分。心電図の所見は?★★★

    洞性徐脈

    洞結節から出る興奮そのものが遅い。β遮断薬などの薬、甲状腺機能低下症、低体温をまず探す。

    107E58

選択肢の○×

しくみ・症状

  1. 1

    徐脈だけで、心不全になることはない。109A32115B36

房室ブロック

  1. 2

    症状のない若い人のWenckebach型房室ブロックは、経過観察でよい。101A18

原因

  1. 3

    抗不整脈薬を増やした後に、洞停止で失神した。すぐに恒久的ペースメーカーを植え込む。105A50113A34

ペースメーカー

  1. 4

    失神をくり返す徐脈は、アトロピンやイソプロテレノールを続けて使って治す。102A59106I50101A18

  2. 5

    徐脈で失神をくり返す人には、植込み型除細動器(ICD)を入れる。104D17106I50105A50120A73101A18107E34

しくみ・症状

  1. 6

    脚ブロックがあるだけで、脈が遅くなり失神する。105H09

房室ブロック

  1. 7

    MobitzⅡ型Ⅱ度房室ブロックは、症状がなければ経過観察でよい。105H09

急ぐとき

  1. 8

    徐脈で失神した人に、リドカインを静注する。102A59117E07119C61

ペースメーカー

  1. 9

    徐脈性の心房細動では、心房をペーシングするペースメーカーを使う。117A27