サルコイドーシス
健診の両側肺門リンパ節腫脹から、ぶどう膜炎・皮膚・心臓の病変と治療まで
15問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- 健診の胸部X線で両側肺門リンパ節腫脹(BHL)。霧視・飛蚊症のぶどう膜炎や皮膚の病変を伴えばサルコイドーシス。全身に肉芽腫ができる、原因の分からない病気。
- 血清ACEが高い。高Ca血症。BAL液のリンパ球とCD4/CD8比が上がる。確定は生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(皮膚・表在リンパ節など、取りやすい所から)。
- 命に関わるのは心臓。房室ブロック・心室頻拍、心エコーで心室中隔基部の菲薄化。心臓の病変にはステロイド。BHLだけなら経過観察。
どんな病気か:病変のできる場所
原因の分からない全身の病気で、いろいろな臓器に肉芽腫ができる。若い人と、中年以降の女性に多い。症状がなく、健診の胸部X線で見つかることが多い。
| 肺・リンパ節 | 両側肺門リンパ節腫脹(BHL)が最も多い。縦隔のリンパ節も腫れ、肺野に粒状影・網状影が出ることもある。頸部・腋窩・鎖骨上のリンパ節も腫れる。影のわりに、聴診の異常は少ない |
|---|---|
| 眼 | ぶどう膜炎(霧視・飛蚊症) |
| 皮膚 | 皮膚の病変。顔(鼻など)や手足の丘疹・結節・局面、古い傷あとが赤く盛り上がる瘢痕浸潤。下腿の結節性紅斑 |
| 心臓 | 房室ブロック・心室頻拍・心不全(下の「心サルコイドーシス」で) |
| そのほか | 神経・骨の病変。高Ca血症から腎結石・腎機能の低下 |
検査と診断
- ① 胸部X線・CTBHL・肺野の影
- ② 採血ACE↑・Ca↑
- ③ 眼科・心電図・心エコーほかの臓器を探す
- ④ 生検肉芽腫で確定
- 採血:血清ACE↑(肉芽腫の細胞が作る)。可溶性IL-2受容体↑・リゾチーム↑。γグロブリン↑。
- 高Ca血症:肉芽腫のマクロファージが活性型ビタミンDを作り、腸からCaを多く吸収する。
- ツベルクリン反応は陰性になりやすい。
- 気管支鏡:BAL液のリンパ球↑・CD4/CD8比↑。気管支の粘膜の血管が網目状に増える。経気管支肺生検(TBLB)で肉芽腫を取る。
- 生検:非乾酪性類上皮細胞肉芽腫(多核巨細胞が混じる)で確定。皮膚の病変・表在リンパ節など、取りやすい所から取る。
- Gaシンチ・FDG-PET:炎症のある所に集まる(心臓での使い方は下で)。
画像で出たら 胸部X線で、左右の肺門が対称に丸くふくらむ。生検では、類上皮細胞の集まった結節に多核巨細胞が混じり、中心に壊死がない。
眼:ぶどう膜炎
両眼に起こることが多い、肉芽腫性のぶどう膜炎。眼科で先に見つかり、胸部X線でBHLが分かることも多い。
| 前眼部 | 豚脂様角膜後面沈着物(角膜の裏に付く、大きく脂っぽい白い沈着物)・虹彩結節 |
|---|---|
| 隅角 | 隅角結節(隅角検査で見る)。隅角がふさがると眼圧が上がる(続発緑内障) |
| 硝子体 | 雪玉状・真珠の首飾り状の硝子体混濁 |
- 炎症が続くと白内障にもなる。
画像で出たら 眼底写真で、下の方の硝子体に白い小さな塊が点々と、数珠のように並ぶ。前眼部写真では、角膜の裏に大きな白い沈着物が付いている。
心サルコイドーシス
肉芽腫が心筋にでき、とくに心室中隔の基部を侵す。そこを通る刺激伝導系が壊れて房室ブロックになり、肉芽腫とそのあとの線維化から心室頻拍が起こる。突然死の原因になり、命に関わるのは主に心臓の病変。肺や皮膚に病変がなく、心臓だけのこともある。
| 症状 | めまい・失神(房室ブロック・心室頻拍)。労作時の息切れ・Ⅲ音(心不全) |
|---|---|
| 心電図 | 房室ブロック(Ⅰ度から完全房室ブロックまで)・脚ブロック・持続性心室頻拍 |
| 心エコー | 心室中隔基部の菲薄化。左室の壁の一部が薄く、瘤のようにふくらむこともある。左室の収縮低下(駆出率↓) |
| 核医学 | FDG-PET・Gaシンチで、心筋に集まる(活動性の炎症)。心臓MRIの遅延造影も使う |
| 心筋生検 | 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫と多核巨細胞。取れる範囲が小さく、見つからないことも多い |
治療
| 炎症を抑える | 副腎皮質ステロイドの内服が中心。房室ブロックが戻ることもあり、心機能の悪化を防ぐ |
|---|---|
| 房室ブロック | 完全房室ブロックには、まず一時的ペーシング。続けばペースメーカー |
| 心室頻拍 | 植込み型除細動器(ICD)で突然死を防ぐ |
| 心不全 | ふつうの心不全の治療も合わせて行う |
画像で出たら 心エコーで、中隔の基部(大動脈弁のすぐ下)だけが薄く、動きが悪い。左室は大きく、全体の動きも落ちている。心筋生検では、肉芽腫の中に多核巨細胞が見える。
治療:経過を見るか、ステロイドか
多くは自然に良くなるので、BHLだけで症状がなければ経過観察。臓器の働きを損なう病変に、副腎皮質ステロイドを使う。
| 経過観察 | BHLだけ(Gaシンチ・FDG-PETでリンパ節に集まっても同じ)。症状のない軽い肺野の影 |
|---|---|
| 塗る・点眼する | 皮膚の病変にはステロイドの外用。眼のぶどう膜炎には、まずステロイドの点眼 |
| 全身のステロイド | 心臓の病変、神経の病変、高Ca血症、骨の病変、進む肺の病変、点眼で治まらない眼の病変 |
| 使わない | 抗結核薬(結核ではない) |
- 経過を見る人も、眼・心臓に病変が出てこないか、眼科の診察と心電図で定期的に確かめる。
似た病気との見分け
両側肺門リンパ節腫脹・肉芽腫のとき
| 結核 | 乾酪壊死のある肉芽腫。ツベルクリン反応・インターフェロンγ遊離試験(IGRA)が陽性 |
|---|---|
| 悪性リンパ腫 | 発熱・寝汗・体重減少。可溶性IL-2受容体はこちらも上がるので、リンパ節の生検で分ける |
ぶどう膜炎のとき
| Behçet病 | 前房蓄膿。口腔内アフタ・陰部潰瘍・結節性紅斑。HLA-B51。BHLはない |
|---|---|
| Vogt-小柳-原田病 | 頭痛・耳鳴り・難聴のあと、両眼の漿液性網膜剝離。髄液の細胞が増える。回復期は夕焼け状眼底 |
| 真菌性眼内炎 | 中心静脈カテーテルを入れている人の発熱と飛蚊症(カンジダ血症から) |
心不全・房室ブロックのとき
| 肥大型心筋症 | 心室中隔が非対称に厚い。家族歴が多い |
|---|---|
| 拡張型心筋症 | 左室が大きく、壁はびまん性に薄い(中隔の基部だけが薄いのではない) |
| 心アミロイドーシス | 壁が厚いのに、心電図は低電位 |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
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まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
健診の胸部X線で見つかる、サルコイドーシスに最も多い所見は?★★★
両側肺門リンパ節腫脹(BHL)
左右の肺門のリンパ節が対称に腫れる。症状のないことが多い。ぶどう膜炎や皮膚の病変があれば、さらに疑う。
- Q2
サルコイドーシスで、下腿にできる圧痛と熱感のある赤い硬結は?★★★
結節性紅斑
皮下脂肪の炎症で、肉芽腫そのものではない。Crohn病・Behçet病や溶連菌などの感染症でも出る。サルコイドーシスに特有の皮膚の病変は、顔や手足の丘疹・結節・局面や、古い傷あとが赤く盛り上がる瘢痕浸潤で、生検で肉芽腫が見える。
- Q3
両側肺門リンパ節腫脹とぶどう膜炎。診断に役立つ血液検査は?★★★
血清ACE(アンジオテンシン変換酵素)
肉芽腫の類上皮細胞が作るので、肉芽腫が多いほど高く、病気の勢いの目安にもなる。リゾチーム・可溶性IL-2受容体も上がる。正常でも否定はできず、高いだけで確定もできない。
- Q4
サルコイドーシスで高Ca血症になるのは、肉芽腫のマクロファージが何を作るから?★★★
活性型ビタミンD(1,25-(OH)2D)
腸からのCaの吸収が増え、尿のCaも増える(腎結石・腎機能の低下)。PTHは抑えられて低い。
- Q5
サルコイドーシスの確定のため、生検で探す組織像は?★★★
非乾酪性類上皮細胞肉芽腫
類上皮細胞の集まった結節に多核巨細胞が混じり、中心に壊死(乾酪壊死)がない。乾酪壊死があれば結核を考える。
- Q6
サルコイドーシスを疑った。まず生検する場所は?★★★
皮膚の病変・表在リンパ節など、取りやすい所(なければ気管支鏡でTBLB)
体への負担が小さい所から取る。眼の症状で来た人も、皮膚やリンパ節に病変があれば、そこで肉芽腫を確かめる。
- Q7
サルコイドーシスの人が、霧視と飛蚊症を訴えた。考える眼の病変は?★★★
ぶどう膜炎(肉芽腫性。両眼に多い)
眼科で先に見つかり、胸部X線でBHLが分かることも多い。炎症が続くと白内障や緑内障になる。
- Q8
サルコイドーシスのぶどう膜炎で、硝子体に見る特徴的な混濁は?★★★
雪玉状(真珠の首飾り状)の硝子体混濁
白い小さな塊が、下の方の硝子体に数珠のように並ぶ。
- Q9
サルコイドーシスのぶどう膜炎で、前眼部と隅角に見る肉芽腫の所見は?(3つ)★★★
豚脂様角膜後面沈着物・虹彩結節・隅角結節
隅角結節は隅角検査(隅角鏡)で見る。隅角がふさがって、眼圧が上がる(続発緑内障)こともある。
- Q10
心サルコイドーシスで最も多く、最初の症状にもなる伝導障害は?★★★
房室ブロック(完全房室ブロックまで進む)
肉芽腫が心室中隔の基部にでき、そこを通る刺激伝導系を壊す。めまい・失神や、徐脈による息切れで来る。サルコイドーシスの人にⅠ度房室ブロックや脚ブロックがあれば、心臓の病変を探す。
- Q11
心サルコイドーシスの心エコーで特徴的な、壁の厚さの変化は?★★★
心室中隔基部の菲薄化
肉芽腫のあとが線維になって薄くなる。壁の一部が薄く瘤のようにふくらむことや、左室全体の収縮低下(駆出率↓)もある。
- Q12
心サルコイドーシスで、心筋の活動性の炎症を写す検査は?★★★
FDG-PET(Gaシンチグラフィも)
炎症のある所に集まる。ステロイドを始めるかの判断と、効き目の判定に使う。心臓MRIの遅延造影も役立つ。
- Q13
心サルコイドーシスの治療の中心になる薬は?★★★
副腎皮質ステロイド(内服)
肉芽腫の炎症を抑え、房室ブロックの回復と心機能の悪化を防ぐことをねらう。完全房室ブロックでは、まず一時的ペーシングで心拍を保つ。心不全の治療も合わせて行う。
- Q14
心サルコイドーシスで持続性心室頻拍が出た。突然死を防ぐ治療は?★★★
植込み型除細動器(ICD)
肉芽腫や線維化の境目で、興奮が回り続けて起こる。抗不整脈薬やステロイドだけでは、突然死を防ぎきれない。
- Q15
症状がなく、両側肺門リンパ節腫脹だけのサルコイドーシス。方針は?★★★
経過観察
多くは数年のうちに自然に小さくなる。Gaシンチ・FDG-PETでリンパ節に集まっても、それだけではステロイドを使わない。眼・心臓に病変が出てこないか、定期的に確かめる。
- Q16
サルコイドーシスの気管支鏡で、気管支の粘膜に見える所見は?★★★
粘膜の下の血管が網目状に増える(network formation)
BAL液ではリンパ球が増え、TBLBで肉芽腫を取る。粘膜の白苔は、気管支結核や真菌で見る所見。
選択肢の○×
検査