抗不整脈薬・ジギタリス中毒
4つの群と副作用から、ジギタリスの使いどころ・中毒まで
5問
第101〜120回
マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題
まずこれだけ
- ジギタリスは房室結節を抑えて、頻脈性の心房細動の心拍数を下げる。徐脈・房室ブロックには使わない。
- ジゴキシンは腎臓から出る。高齢・腎機能の低下でたまり、徐脈で失神する(ジギタリス中毒)。悪心・食欲不振も出る。まずやめる。
- 抗不整脈薬はかえって不整脈を起こすことがある。リドカインは心室の不整脈の薬で、上室性の頻拍には効かない。
4つの群(Vaughan Williams分類)
抗不整脈薬は、心筋のどのチャネル・受容体を抑えるかで4つの群に分ける(Vaughan Williams分類)。
| Ⅰ群(Naチャネル) | Ⅰa:ジソピラミド・シベンゾリン・プロカインアミド。Ⅰb:リドカイン・メキシレチン。Ⅰc:ピルシカイニド・フレカイニド。リドカイン(Ⅰb群)は心室の不整脈の薬で、発作性上室頻拍・心房細動・心房粗動には効かない |
|---|---|
| Ⅱ群(β受容体) | β遮断薬(プロプラノロール・ビソプロロール。静注はランジオロール) |
| Ⅲ群(Kチャネル) | アミオダロン・ソタロール・ニフェカラント。アミオダロンは心機能が落ちた人にも使える |
| Ⅳ群(Caチャネル) | ベラパミル・ジルチアゼム |
| 群に入らない | ジギタリス(下の節)・ATP |
どの不整脈にどれを使うか(心拍数を下げる・洞調律に戻す・発作を止める)は、心房細動・発作性上室頻拍・心室性不整脈のテーマで。
副作用:かえって不整脈を起こす
抗不整脈薬は、どの群もかえって新しい不整脈(洞停止・房室ブロック・心室頻拍など)を起こすことがある(催不整脈作用)。飲み始めや量を増やした後のふらつき・失神は、まず薬を疑う(洞停止・房室ブロックへの対応は徐脈性不整脈で)。
| Ⅰ群 | 多くは心臓の収縮を弱める(心不全が悪くなる)。ジソピラミドは抗コリン作用(口渇・尿閉・緑内障の悪化)と低血糖(シベンゾリンも低血糖) |
|---|---|
| Ⅰa群・Ⅲ群 | QT延長から torsade de pointes(心室性不整脈で) |
| アミオダロン | 間質性肺炎(乾いた咳・息切れ)・甲状腺機能の低下や亢進(ヨウ素を多く含む)・肝障害・角膜への沈着 |
ジギタリス:心房細動の脈を下げる
ジギタリス(ジゴキシン)は、房室結節の伝導を抑えて心室に伝わる回数を減らし、心臓の収縮も少し強める。
| 使う | 頻脈性の心房細動の心拍数を下げる(レートコントロール)。心不全を伴って急に脈が速くなった心房細動には、静注でも使う。効き始めが遅く、今はβ遮断薬が先のことが多い(心房細動で) |
|---|---|
| 使わない | 徐脈・房室ブロック(さらに遅くなる)・甲状腺機能亢進症の頻脈(β遮断薬を使う)・狭心症(収縮を強めて酸素の消費が増える)。WPW症候群の心房細動・閉塞性肥大型心筋症にも使わない(それぞれのテーマで) |
| 心不全 | 症状は軽くするが、生命予後は改善しない(心不全で) |
ジギタリス中毒:腎機能の落ちた高齢者
ジゴキシンは大部分が腎臓から尿に出る。効く量と中毒になる量が近いので、出にくくなるとすぐにたまる。
| 起こしやすくする | 高齢・やせ・腎機能の低下(やせた高齢者は、クレアチニンが少し高いだけでも腎機能はかなり落ちている)。低K血症(利尿薬を一緒に飲む人)。ベラパミル・アミオダロンとの併用(血中濃度が上がる) |
|---|---|
| 症状 | 食欲不振・悪心・嘔吐。物が黄色く見える(黄視)などの見え方の異常。高齢者では「元気がない」だけのこともある |
| 不整脈 | 徐脈(房室ブロック)で、ふらつき・失神。心室期外収縮(二段脈)・心室頻拍も |
| 心電図 | 盆状(なだらかにくぼむ形)のST低下は、ジギタリスを飲んでいる印。それだけでは中毒ではない |
| 対応 | まずジゴキシンをやめる(多くはやめると戻る)。血中濃度を測り、低K血症を補正する。失神するほどの徐脈にはアトロピン・一時的ペーシング(徐脈性不整脈で) |
合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。
表示の設定
まずは基礎・標準から。応用は、基礎・標準の一問一答と○×がすべて習得になると開きます。あと 問。
一問一答
- Q1
抗不整脈薬で、かえって新しい不整脈(洞停止・房室ブロック・心室頻拍など)が起こること。何という?★★★
催不整脈作用
どの群の薬でも起こる。飲み始めや量を増やした後のふらつき・失神では、まず薬を疑い、Holter心電図などで確かめる。
- Q2
房室結節の伝導を抑えて心室の心拍数を下げる、ジギタリスの代表的な使いどころは?★★★必修
頻脈性の心房細動(レートコントロール)
心臓の収縮も少し強めるので、心不全を伴う心房細動で使いやすい。急に脈が速くなった心不全には静注でも。効き始めが遅く、今はβ遮断薬が先のことが多い。
- Q3
心房細動でジゴキシンを飲む84歳の女性。体重42 kg、クレアチニン1.4 mg/dL。脈拍36/分で失神した。ほかにARB・スタチン・PPIを飲んでいる。原因に考える薬は?★★★
ジゴキシン(ジギタリス中毒)
腎臓から出にくくなってたまり、房室結節を強く抑えて脈が遅くなった。ほかの薬は徐脈を起こさない。ジゴキシンをやめると戻る。
- Q4
ジゴキシンは、主にどこから体の外へ出る薬?★★★
腎臓(尿)
腎機能が落ちると出にくくなり、血中濃度が上がって中毒になる。やせた高齢者は、クレアチニンが少し高いだけでも腎機能はかなり落ちている。肝臓での代謝はわずか。
- Q5
ジギタリス中毒で、徐脈などの不整脈のほかに多い症状は?★★★必修
食欲不振・悪心・嘔吐(消化器症状)
物が黄色く見える(黄視)など、見え方の異常も出る。高齢者では食欲がない・元気がないだけのこともあり、飲んでいる薬を確かめないと見逃す。
選択肢の○×
4つの群