出る順17

発作性上室頻拍・WPW症候群

突然始まり突然止まる動悸から、止め方・デルタ波・根治まで

12問
第101〜120回

マーカー 3回以上出題点線 1〜2回出題

まずこれだけ

  1. 突然始まり突然止まる、規則正しい速い動悸。心電図はQRS幅の狭い頻拍が同じ間隔で続き、P波が見えにくい。
  2. 血圧が保たれていればまず迷走神経刺激(Valsalva手技)、止まらなければATPを急速静注。気管支喘息ではATPを使わず、ベラパミル。不安定なら電気ショック。
  3. 発作のない時にPQ短縮・デルタ波ならWPW症候群。発作はQRS幅の狭い房室回帰性頻拍で、止め方は同じ。根治はカテーテルアブレーション。

どんな頻拍か:動悸と心電図

心房と心室のあいだに電気の回り道ができ、興奮がぐるぐる回り続けて起こる頻拍。回路のほとんどに房室結節が入っているので、房室結節の伝導を一瞬止めると止まる。

症状突然始まり、突然止まる動悸。脈は速く(150〜200/分前後)、規則正しい。数分〜数時間続き、何年もくり返す。心臓にほかの病気がない人に多い
心電図QRS幅の狭い頻拍が、同じ間隔で続く。P波はQRSに重なるか、すぐ後ろに隠れて見えにくい。発作のない時は、WPW症候群でなければ正常
回路房室結節リエントリー性頻拍:房室結節の中の速い道と遅い道を回る。最も多い。
房室回帰性頻拍:房室結節と副伝導路を回る(→WPW症候群)

画像で出たら 幅の狭いQRSが同じ間隔でびっしり並び、QRSの前にP波がない(QRSのすぐ後ろに小さなP波が見えることもある)。洞性頻脈なら、QRSの前に毎回P波がある。

WPW症候群:デルタ波と副伝導路

心房と心室のあいだに、房室結節とは別の電気の通り道(副伝導路。Kent束)が生まれつきある。副伝導路には房室結節のような伝導の遅れがないので、心房の興奮が副伝導路を通って、先に心室の一部に届く。

発作のない時の心電図PQ時間が短い(0.12秒未満)。QRSの立ち上がりがなだらかに傾く(デルタ波)。QRS幅が広い
頻拍発作房室回帰性頻拍が多い。房室結節を下り、副伝導路を上って回るので、発作中はデルタ波が消え、QRS幅は狭い。止め方は発作性上室頻拍と同じ
幅の広いQRSの頻拍副伝導路を下って回ると、幅の広いQRSが規則的に続き、心室頻拍に似る。心房細動が重なると、幅の広いQRSが不規則に速く続き、心室細動になりうる(くわしくは心房細動で)
  • 健診や学校の心電図検査で見つかることが多い。

画像で出たら PQが短く、QRSがP波のすぐ後ろからなだらかに立ち上がる(デルタ波)。電気ショックで止めた後の心電図にデルタ波が見えれば、その頻拍はWPW症候群によるもの。

発作を止める

  1. ① 血行動態を見る不安定なら電気ショック
  2. ② 迷走神経刺激Valsalva手技
  3. ③ ATPの急速静注喘息ならベラパミル
  4. ④ 根治後日、アブレーション
不安定血圧低下・意識障害・胸痛・心不全があれば、すぐ電気ショック(QRSに同期させるカルディオバージョン)。安定していれば、電気ショックから始めない
迷走神経刺激まずValsalva手技(息を止めて、いきむ)。顔を冷水につける方法もある。頸動脈洞マッサージは、頸動脈に狭窄や雑音がある人にはしない(プラークがはがれて脳梗塞)
ATP迷走神経刺激で止まらなければATP。房室結節を数秒止める。血液中ですぐ分解されるので、急速静注。数秒の胸の苦しさが出ることを先に話す。気管支喘息では使わない(気管支が収縮する)
Ca拮抗薬ベラパミル(ジルチアゼムも)を静注。喘息の人は、迷走神経刺激の次にこちら。喘息ではβ遮断薬も使わない
ほかの薬Ⅰ群の抗不整脈薬(ジソピラミドなど)でも止まる。アトロピン・イソプロテレノールは使わない(心拍数を上げる)。ジゴキシンは効き始めが遅く、止めるのには向かない

根治:カテーテルアブレーション

発作をくり返す人・発作がつらい人は、カテーテルアブレーションで回路の一部(副伝導路や、房室結節の中の遅い道)を焼き切る。多くはこれで根治する。発作中に行う治療ではなく、落ち着いてから予定して行う。

  • 電気ショックが要るほどのWPW症候群の頻拍も、アブレーションで根治をめざす。植込み型除細動器(ICD)は使わない(心室頻拍・心室細動のためのもの)。
  • ベラパミルやジギタリスを飲み続けても根治しない。WPW症候群に、ジギタリスは使わない(副伝導路を通りやすくすることがある)。
  • 洞性頻脈は体の反応なので、アブレーションしない(原因を治す)。

似た病気との見分け

速い動悸・頻拍のとき

洞性頻脈少しずつ速くなり、少しずつ戻る。QRSの前に毎回、形のふつうなP波。発熱・脱水・貧血・甲状腺機能亢進症など、原因を治す
発作性心房細動脈がバラバラに乱れる。P波がなく、RR間隔がまったく不規則(くわしくは心房細動で)
心房粗動のこぎりの歯のような波(F波)。2:1で伝わると150/分前後で整(くわしくは心房細動で)
心室頻拍幅の広いQRSが規則的に続く。心筋梗塞・心筋症など心臓に病気のある人に多く、失神・ショックになりやすい(くわしくは心室性不整脈で)
心室期外収縮「脈が飛ぶ」感じ。幅の広いQRSが単発で早く出る。続く動悸にはならない

合格に必要な所だけ。まずはここを全部「習得」に。

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一問一答

  1. Q1

    突然始まって突然止まる、規則正しい速い動悸。心電図はQRS幅の狭い頻拍が同じ間隔で続き、P波がはっきりしない。考える不整脈は?★★★必修

    発作性上室頻拍(PSVT)

    P波はQRSに重なるか、すぐ後ろに隠れる。洞性頻脈ならQRSの前に毎回P波があり、心房細動ならRR間隔がばらばら。

    114B20114D40112D65118A51119D69101D18

  2. Q2

    発作のない時の心電図で、PQ時間が短く、QRSの立ち上がりがなだらかに傾き(デルタ波)、QRS幅が広い。診断は?★★★

    WPW症候群

    心房と心室をつなぐ副伝導路(Kent束)を通って、心室の一部が早く興奮しはじめる。健診の心電図で見つかることも多い。

    101G20105I49119D69113F30114A31

  3. Q3

    健診でデルタ波を指摘されていた人が、突然の動悸で来院。心拍数180/分で、QRS幅の狭い規則的な頻拍。考える不整脈は?★★★

    房室回帰性頻拍(発作性上室頻拍)

    房室結節を下り、副伝導路を上って回る。心室には房室結節から入るので、発作中はデルタ波が消えてQRS幅は狭い。デルタ波があるからと、心室頻拍と考えない。

    114A31101G20105I49119D69

  4. Q4

    血圧が保たれ、意識もはっきりしているPSVT。まず行うのは?★★★

    迷走神経刺激(Valsalva手技:息を止めていきむ)

    迷走神経が房室結節の伝導を落とし、回路が切れる。顔を冷水につける方法もある。WPW症候群の人の発作も同じ。

    119D69112D65114D40118A51120A09

  5. Q5

    迷走神経刺激で止まらないPSVT。気管支喘息はない。使う薬と、その投与のしかたは?★★★

    ATP(アデノシン三リン酸)の急速静注

    房室結節を数秒止めて、回路を切る。血液中ですぐ分解されるので、ゆっくり入れると効かない。数秒の胸の苦しさが出ることを、前もって話しておく。

    118A51114D40

  6. Q6

    ATPのほかに、PSVTを止めるために静注するCa拮抗薬は?★★★必修

    ベラパミル(ジルチアゼムも)

    房室結節の伝導を抑える。気管支喘息でATPが使えない人には、迷走神経刺激の次にこれを使う。血圧が低い人・心機能が落ちた人には使いにくい。

    101D18120A09112D65114D40

  7. Q7

    発作をくり返すPSVT・WPW症候群で、再発を防ぎ根治をめざす治療は?★★★

    カテーテルアブレーション

    副伝導路や、房室結節の中の遅い道を焼いて回路を断つ。発作を止める治療ではなく、落ち着いてから予定して行う。ベラパミルやジギタリスを飲み続けても根治しない。

    113F30120A09

  8. Q8

    WPW症候群でPQ時間が短いのは、副伝導路がどこを通らずに心房と心室をつなぐから?★★★

    房室結節(刺激伝導系で、伝導に最も時間がかかる所)

    ふつうは房室結節で伝導が遅れ、その間に心房が縮んで心室へ血を送る。副伝導路にはこの遅れがないので、PQ時間が短くなる。

    103E34

選択肢の○×

止め方

  1. 1

    血圧が保たれたPSVTでも、まず電気ショック(カルディオバージョン)で止める。119D69120A09

  2. 2

    両側の頸動脈に狭窄がある人のPSVTにも、頸動脈洞マッサージを行ってよい。114D40

  3. 3

    気管支喘息の人のPSVTに、ATPを急速静注する。禁忌119D69120A09112D65

  4. 4

    PSVTの発作に、アトロピンやイソプロテレノールを使う。101D18112D65

止め方

  1. 5

    気管支喘息の人のPSVTで、迷走神経刺激が効かなければ、β遮断薬を静注する。120A09

  2. 6

    PSVTの発作を止めるには、ジゴキシンの静注がよい。119D69113F30

  3. 7

    PSVTの停止には、ジソピラミドなどⅠ群の抗不整脈薬も使える。114D40

根治

  1. 8

    WPW症候群で、電気ショックで止めた幅の広いQRSの頻拍。再発を防ぐため、植込み型除細動器(ICD)を入れる。113F30

  2. 9

    洞性頻脈にも、カテーテルアブレーションを行う。112C13